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遅延許されぬ離散家族再会



 6月15日の南北共同宣言を受け、8月15日に続いて実施される予定だった離散家族の再会が遅延しているといいます。遅延に関して大韓赤十字社は、北韓側の非協力をあげ、19日には遺憾の意を表し、即時の履行を促す書簡を送りました。

 6・15共同宣言以降、南北間では閣僚級会談、国防相級会談など平和定着などの交渉が実施されてきました。しかし、今回の再会遅延は、南北1000万人といわれる離散家族に大きな失望と挫折を抱かせるものです。

 8月15日、ソウルと平壌で行われた離散家族再会の模様は、映像を通じて全世界に伝わりました。わずか100人ずつではありましたが、15年ぶりに行われた再会劇に、韓半島全体が涙に包まれた事実は記憶に新しいでしょう。

 50年ぶりに再会を果たしたのは、韓国国内の123万人の離散一世を含む767万人におよぶ離散家族の中からコンピュータによる抽選で選ばれた100人でした。そして北韓側からの100人を合わせて200人とその家族だけでした。


■生存確認の親族名簿交換を

 離散家族の全体数から考えて、あまりにも少ない人数と言わざるを得ません。しかし、離散家族再会の第一歩であり突破口として、今後の進展や拡大を期待した離散家族から歓迎を受けたのです。

 人道的立場から再会を進めていくために南北赤十字は、9月下旬の第2回会談で8月15日に次ぐ2度目の訪問団を11月2日に交換することで合意しました。10月3日に候補者200人の名簿が交換され、10月13日には親族の生存が確認できた名簿を交換しあうはずでした。しかし北韓側は、上層部の指示や命令がないと、18日までに回答をしていません。また、9月と10月に試験的に実施することで合意していた離散家族の生死確認についても、9月末に100人ずつの名簿を交換し、確認作業をほぼ終えた韓国側が結果の交換を求めても、北韓側は準備ができていないと結果を報告していません。

 金正日国防委員長は、8月15日の再会を前に平壌を訪れた韓国のマスコミ社長団との会見で、9月と10月にも一度ずつ、今回のような離散家族相互訪問を実現させると表明、来年には家族の家にまで行けるようにするとも明らかにしました。この発言によって、再会の量、質ともに拡大の方向に進むと多くの離散家族が期待しました。

 しかし、現実は拡大方向には進んでいません。むしろ逆方向に進んでいる状況が見て取れます。大韓赤十字社の張忠植総裁も「相手に対する信義に背くこと」と遺憾の意を表しています。


■1回で終わった85年の轍踏むな

 共同宣言によって南北関係は、平和の定着、和合と交流に向けて大きく進みつつあります。共同宣言の本旨は、信頼と和解、協力という精神にのっとって新たな南北関係を築いていくことです。合意された5項目の中にも、離散家族再会など人道的問題を解決していく、とうたわれています。

 韓国内の国民ばかりでなく在外同胞も、離散家族の再会に大きな関心を寄せています。高齢の離散家族が1日も早く肉親との再会を果たせるように望んでいるのです。

 まず、疑心暗鬼を払拭し、相互に信頼関係が作られなければなりません。たった1回の再会だけで途絶えてしまった85年の轍を踏まず、新しい南北関係を作るためにも、北赤は早急に確認報告を出して欲しいものです。

(2000.10.25 民団新聞)



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