「ON対決」で大いに盛り上がった、プロ野球の日本シリーズ。20世紀最後の日本一に巨人が収まり、プロ野球ファンならずとも、何となく「納得」させられた人も多いのではないだろうか。
20世紀の日本プロ野球ベストナインの一人に、在日同胞2世の張勲氏(張本勲・東映→巨人→ロッテ)が選ばれた。張勲氏は前人未踏の「3000本安打」という大記録を達成し、野球殿堂入りも果たした日本プロ野球伝説の男の一人だ。
被爆の上に幼少時代のやけどによって指の癒着というハンディを持ちながらも、韓国人としてのプライドを持ち、努力を重ねてきた張勲氏のバッティングは「安打製造器」とまで言われた「職人芸」を完成させた。往年の活躍ぶりは、私たち在日同胞だけでなく、韓国民にとっても勇気と希望を与えた。まさに「民族の英雄」のひとりだ。
さて、今年のプロ野球をふり返ってみると、在日同胞選手2人がすばらしい活躍を見せた。
金本知憲選手(広島)が「3割、30本、30盗塁」のトリプル3を達成。これは60年以上の歴史を誇る日本プロ野球でも、わずかに7人目の栄誉。背番号も張勲氏と同じ「10」、顔つきも在日同胞にとって親しみやすいマスクだけに、なおさら応援したくなる。
そして、セリーグの最優秀新人賞と首位打者に輝いた金城龍彦選手(横浜ベイスターズ)。彗星のごとく登場し、松井秀樹(巨人)の三冠王を阻んだ。前人未踏の3000本安打を達成した張勲氏を思わせるミートのうまさに益々の活躍を期待したい。
数多くの在日同胞が活躍した20世紀の日本プロ野球。21世紀も多くの在日同胞選手のヒーローが誕生してほしい。(J)
(2000.11.08 民団新聞)
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