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「無縁同胞の慰霊碑」除幕

埼玉聖天院・4300人の過去帳奉納



 【埼玉】第二次世界大戦で犠牲となった全国各地の同胞無縁仏を弔いたいとの在日同胞一世の願いがかない、在日韓民族無縁之霊碑と納骨堂及び慰霊塔が、埼玉県日高市にある韓民族ゆかりの聖天院勝楽寺の寺域である奥山を切り開き、完成した。同じく6年がかりで改築工事の進められていた本堂の竣工と合わせ3日、落慶開眼法要式典が厳かに執り行われた。

 境内奥にそびえ立つ高さ16メートル慰霊塔は韓国と日本の過去の不幸な歴史を象徴するかのように36段階になっている。その下に造成された納骨堂には70万柱以上の遺骨を納めることができる。この日の式典までにまず「三井・三菱美唄炭鉱朝鮮人死亡者名簿」(537人分)など4310人分の過去帳が奉納された。

 最初に在日韓国人文化芸術協会の河正雄会長が「先人たちが歩んできた20世紀の歴史を21世紀を担う若い世代に伝えていくのは、われわれに課せられた大きな使命です。この『霊碑』建立を新たな一歩としたい」と式辞を述べた。このあと、僧侶の読経が流れるなか、高麗茶道代表の申雅子さんが献茶した。

 慰霊塔と「霊碑」、納骨堂などは新本堂の建設基礎工事と合わせ、在日同胞信徒の尹炳道さん(70)が無償で請け負った。尹さんは「人知れず全国のお寺に安置されている在日同胞の遺骨を1カ所に収め、白衣民族の聖地にして在日韓国人が1人でも2人でもお参りできるようにしたかった。7年前の想いがようやくかなった」と喜びをあらわにしていた。

 「白衣民族の聖地」を象徴するかのように、小高い丘の上からは檀君像が「霊碑」を見下ろしている。このほか、周囲には申師任堂や鄭夢周、太宗武烈王などの歴史上の偉人の像を並べてある。檀家の1人、金明植さん(埼玉県川越市在住)は「こういう形で歴史をきちっと残すことが第一。聖天院にできたことはすばらしい」と感想を語った。

(2000.11.08 民団新聞)



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