民団新聞 MINDAN
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21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<1>



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本国の体育科1級資格研修

「鎮佑(東京韓国学校・体育科教師)

 7月18日から8月22日までの間、ソウルで2000年度体育科一級資格研修に参加した。この研修は、本来、韓国の大学で教師免許を取得し、卒業後、教師として学校現場で5年から7年以上勤務した教師が選ばれ受講する。

 私は、日本の初・中・高等学校を卒業、大学も日本体育大学を卒業して体育の教師資格を取得。89年から東京韓国学校で勤務している。日本の教師免許でこの研修を受講するのは、今回、私が初めてのケースだったようだ。

 同じ研修を受けている先生方も、日本から来たということで関心があり、日本の教育現場のことや、体育施設の充実度について聞かれた。また、ちょうど南北統一問題が話題になっている時期だったので、韓国学校と朝鮮総連の学校との交流があるのかと聞かれた。「これまで交流はなかったみたいだ」と答えると、皆驚いた表情を見せたことが印象に残っている。

 親しい友人達もでき、日本に戻る前に彼らの学校に行き体育の授業見学をしたりした。ソウル市内でも一、二位を競うバスケットボールの強い学校で、特別にクラブの練習に参加させてもらった。ゲームをしたりして学生らとも交流する貴重な体験ができた。

 研修の内容は、よく考えられたプログラムだった。しかし、成績の優秀者を決める評価方法については改善が必要なのではと感じた。評価試験(筆記試験)は20点満点なのだが、配点内容半分が4択問題(穴埋め問題)と、残りが論述問題で、論述問題の評価の仕方が採点する教授によって違いがあるように思えたからである。奨学士(体育教育研究士)も同様に思われていて、皆運不運があるということであった。

 また、実技試験でそんなに上手だと思えない人達が、成績優秀者として表彰されていたので、やはり韓国はまだ実技よりもペーパーの比重が大きいのかと思った。体育科なので、ここは逆にペーパーよりも実技の方の比重を大きくするか、同じぐらいにした方が妥当ではないかと思う。韓国の教育方針は、外国の新しい教育方法を参考にして取り入れているということだが、教育現場では環境等の関係であまり生かされていないようであった。

 私は、日本の大学の体育科の授業でしっかりした指導法や技能を身に付けることができたと思っている。それらが、今回の研修のいろいろな実技の時間で生かされ、バスケットボールと水泳の2種目の実技試験では、運良く1位か2位の成績だった。

 筆記試験の方は、まだ韓国語の不十分な私にとっては難しく、あまり良くできなかったが、熱心に勉強し、新しい知識も得たので満足している。

 韓国の学校の教育現場では、コンピュータの活用が盛んで、みな上手にコンピュータを使いこなしていた。研修では、各課題のレポートも手書きではなくコンピュータを使って作成する。Eメールで3科目の課題が出て、それをダウンロードし、各科目に対する意見を要約した論評をEメールで送らなければならない。このため、日本から来た私は韓国語Windowsと日本語Windowsの両方できるコンピュータ機器等の用意をしなければならず、苦労した。

 研修に参加して本国の体育教師達と共に勉強したことは、私にとって良い刺激になり、再教育させられた気分になった。来年は、韓国に語学研修に参加し語学力も向上させ、自己の能力を高めていきたい。

(2000.11.22 民団新聞)



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