民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<2>



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新時代に向け生きた英語教育を

李錦順(東京韓国学校・英語教師)

 1日1日が、めまぐるしく変わる社会。マスコミなどをはじめ、どこへ行っても英語の重要性が力説されるようになって久しい。英語教育を担当する者の一人として、国際化時代に立ち遅れないよう、「生きた英語」を教えなければならない責任と重圧に耐える身もだえを隠すのに必死です。まして、その必死な姿を隠すのに、また必死にならなければならないというアイロニー……。

 ともすれば、英語ができないと社会で淘汰されてしまうような錯覚が、私たちをして教えることと学ぶことを続けさせている原動力になっていることも、一面の事実です。

 しかし、そうしたことが望ましい教育の方法でないことも、すでに周知の事実です。

 東京韓国学校では、なによりも語学の力を、日本で生きる韓国人として外国の言語と文化に直接接することのできる手段として培うために、今年2000年度から、英語の授業に能力別少人数制を導入して実施しています。

 「淘汰されるかもしれない」という錯覚に、たとえ負けることになるかもしれないにせよ、生徒本人が自分の語学力に見合った授業を選択できるため、やる気さえあれば成果を望めます。生徒が自分の可能性を選択する幅が広がったことが、一番大きな長所だといえるでしょう。

 まだ試験的な段階ですが、これから全学年にわたってこの制度が導入されます。生徒自身の学習意欲を持続させ、可能性に向かって歩み続けることができるよう、互いに努力しなければならないでしょう。

 私たちの努力の断面を少し紹介します。

 できれば英語で授業が可能なように、ネイティブ・スピーカーの先生方の助けが必要です。

 そこで、現在、教師たちはネイティブ・スピーカーの先生たちと英語で討論しながら、毎日、「教室留学」をしています。

 また、教師たちの努力だけでなく、学校としても、同胞社会からの支援を引き出しながら、海外の語学研修機関を活用する方針を積極的にたてる必要があります。そうなって初めて、本校の生徒たちは、教室でだけの英語にとどまらず、外国との文化と接する中での試行錯誤を、直接経験する機会を得ることができるからです。

 もちろん、在日同胞社会からの支援という裏付けがなければ、こうした計画もただの机上の空論になってしまいます。

 しかし、本当に重要なことは、あらゆる裏付けが満たされたとしても、語学教育にたずさわっている教師たち自身の資質と熱意とが伴わなければどうしようもないということです。

 だからといって、私たちにこれといった妙案があるわけでもありません。ただ、「学生の質は教師の質を越えることはできない」という言葉があるように、教師である私たち自身が絶えず努力し、生徒たちとともに学び、また、教える者としての情熱を失ってはならないという覚悟を新たにするだけです。

 教師は、どこまでも学生たちの補助手段にすぎません。子供たちがひとり立ちできるまで、手をとってやり、肩を押してやる姿勢を失わないようにしたい。それは教師としての私たちのMy Wayであり、同時に、生徒たちとともに進むOur Wayでなくてはなりません。And now……。

(2000.11.22 民団新聞)



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