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「参政権」実現で新世紀を共に創ろう



 国会に提出されていた「永住外国人に対する地方選挙権付与方案」が15日から、ようやく審議入りしました。今臨時国会の開幕から慎重派が躍起になって「阻止」行動をとったことから、足踏み状態が続き、国会閉幕間近のこの時期という、「滑り込み状態」となってしまいました。

 民団は1994年以来、地方参政権獲得運動を最優先課題として、全同胞が一丸となって粘り強く展開してきました。全国3302の地方自治体に対して「国に付与を求める意見書」の採択を要望したほか、幅広く世論喚起を図ってきました。

 民団とすべての傘下団体、そして団員がひとつになって運動を展開してきたのです。今臨時国会で法案が実現するよう、民団は衆参議員全員を訪れ、陳情を行いました。オモニたちの婦人会でも同じように全議員を訪れ、悲願を訴えました。私たちの声は、ますます広がっていきました。

 韓日首脳会談や韓日閣僚懇談会、外相会談など、金大中大統領を先頭に韓国政府も、在日同胞への理解を前面に示し、側面的な支援を重ねてくれました。

 今臨時国会での審議入りをめぐって、与党の一部慎重派が、「帰化論」「国民主権論」「国益論」等、説得力を欠いた論議を持ち出し、「阻止」を打ち出しました。テレビや新聞、雑誌などのメディアでも「賛成派」VS「反対派」の公開討論や意見が駆けめぐりました。


■日本の次世代たちの行動

 地方参政権問題が注目を集める中、日本の次世代たちがひとつの行動をとりました。東大生を中心にした学生グループ「永住外国人の地方参政権を考える会」が賛成派議員と反対派議員を招いて開催した、キャンパス内での公開討論会です。

 都内の各大学から参加した約600人の学生たちは「自分たちが抱えていく問題」として、両派の主張を聞いたあと、冷静な立場で判断をしました。500人に配布したアンケートの結果(回収391人)で、地方参政権の付与について「賛成」が360人(92・3%)、「反対」はわずか16人(4・1%)と、若者たちは永住外国人への地方参政権付与を圧倒的に支持する反応を示しました。

 また、同考える会が9月に実施した、東京六大学を中心に、首都圏20大学、760人の学生へのアンケート調査でも、「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて90・6%を占めました。

 これは、当事者である私たち在日同胞ではなく、付与する側の日本人学生たちが示した判断です。


■広い視野で未来を見つめて

 21世紀はもう目の前に近づいています。慎重派の方々には、もう一度、広く長い目で日本と世界の未来を考えてみていただきたい。永住外国人住民への地方選挙権付与が、むしろこれからの日本社会の利益に資することを理解してほしいのです。付与することによって、何よりも外国人住民の信頼を得るでしょう。そして、同等な地域住民として認められることによって、永住外国人は地域社会の責任ある構成員として一層寄与し貢献していくことでしょう。

 同時に、外国人住民を共に生きていくパートナーとして迎えることによって、地域社会の一層の活性化と発展が期待できるでしょう。このことは、日本が民主主義の成熟した、開かれた「人権先進国」として、アジアおよび世界に高く評価され、日本のイメージアップにもつながるものと信じます。新しい時代を共に創っていきましょう。

(2000.11.22 民団新聞)



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