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辛容祥氏「地域で共生の制度を」

参政権・衆院参考人質疑で



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「帰化論」にも反論

 永住外国人への地方選挙権付与法案を審議している衆議院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会は22日、民団中央本部常任顧問の辛容祥地方参政権特別委員長はじめ賛否両意見の参考人3人を招いて質疑を行った。辛委員長は「日本に半世紀以上根を下ろし生活の根拠があり、まぎれもない地域住民。しかし資格を与えられていない」と訴え、法案に賛意を持つ議員をうなずかせた。29日にも第2回の参考人聴取が行われる。

 参考人質疑ではまず、半世紀以上にわたる日本居住歴を持つ辛委員長が地方選挙権の付与を求める主張を繰り広げた。辛委員長は、地域の学校PTAや町内会などで在日韓国人が日本市民と日常的につきあっている現状を説明しながら、選挙に同行しようと誘われた時には門外漢になると指摘し、「近隣の人たちと違和感無く仲良く暮らす」ためにも選挙権が必要と訴えた。また半世紀以上にわたって日本に居住し、生活の根拠もあり、まぎれもない地域住民であるのに、資格(地方選挙権)が与えられていない、と強く地方選挙権法案の成立を求めた。

 一方、各種世論調査、地方議会の意見書採択、最高裁の判決などをあげながら「地域に住む住民同士は仲良くし、共に地域の発展に協力しあおう、という日本国民の信号」と法案への反論者にも理解を求めた。

 帰化して参政権を実現すればとする意見についても「国籍の区別なく、支え合うのが人間であり、自分に誇りを持って生きるべき」と反論を述べた。

 田中宏・龍谷大教授も賛成の立場から、日本が血統主義をとっている点を指摘し、永住外国人の権利については別途処置する必要があると述べ、帰化論についても「いつまでも外国人を続けている方が悪いという論」と指摘し、「帰化しなければ戦後補償が受けられない、指紋押捺が嫌なら帰化」というこれまでの日本の対応を示しながら反論した。

 一方、鄭大均・東京都立大教授は、国籍とアイデンティティーにズレが生じている在日同胞は日本国籍を取得して参政権を求めるべきとした。

 法案の慎重な取り扱いを求める会の幹事を務める平沢勝栄議員(自民)の、「地方政治は国と密接にかかわっており、国益が反した場合どうするのか」との質問に辛委員長は「小渕総理と金大統領は、未来志向で韓日関係を作ろうと確認した。国益の対立はありえない」と述べた。また田中教授も「地方自治にも憲法など一定のしばりがあり、逸脱できない。地域で外国人とともに暮らすシステムを作ることが国家同士の衝突を抑止する」と表明した。

 民主党の鍵田節哉議員は、阪神大震災時に在日外国人と日本市民がともに地域復興に立ち上がった事実を述べながら「共生社会をつくることが有事の際、日本の安全に役立つ」と述べた。

(2000.11.29 民団新聞)



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