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地方選挙権付与方案、衆院で審議

冬柴氏、「憲法に矛盾せぬ」



 公明・保守の両党と民主党が提出していた「永住外国人への地方選挙権付与法案」が11月15日、衆議院の政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会で審議入りし、提案者の冬柴鐵三公明党幹事長らが趣旨説明した。また16、17の両日も各党議員によって質疑が行われ、22日には参考人の説明と質疑が行われた。

 与党の公明、保守の両党の「永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案」(永住外国人への地方選挙権付与法案)は今年7月5日、衆議院に提出された。民主党も同日、同様の法案を提出していた。

 15日の趣旨説明で冬柴幹事長は法制定のために(1)地方のことは地域に居住する「住民」が自主・自立的に解決することが望ましい(2)成熟した民主主義国家としての「住民」には地域に特段緊密な関係を持つ「外国人たる住民」の意思を地域の公共団体の決定に反映すべき(3)特に在日韓国人など歴史的背景のある人々に対しては、その人が望めば限りなく日本国民に近い扱いがされるべき―と趣旨を説明した。

 16日の初質疑で冬柴幹事長は、地方自治も国家の一環であるという論に対して、「国政は国民固有の権利であるが、法律によって日本国民と生活実態が代わらない永住外国人に地方選挙権を付与することは憲法にいささかも矛盾するものでない」と答弁し、地方自治が住民自治を認めているとした。また帰化して選挙権を取得すべきという反対論に対しても「国籍選択は個人の自由」としながら韓日併合で日本人とされ、選挙権もあった歴史的背景を持つ在日韓国人に対してさえも「帰化手続きは厳格」と述べ、「国籍を離脱するのが嫌な人たちについて法律が必要」と法案への理解を求めた。

 民主党の中野寛成副代表らも特別永住者への限定付与案に対して「過去の日本の贖罪行為としてなすべきでない」と反対した。

 法案は、これまで一部自民党内の慎重・反対論のために審議入りが遅れていたが、2日間の質疑を経て、22日には民団の辛容祥地方参政権特別委員長、地方自治体関係者および賛否両論の学者らを招いての参考人質疑が行われる。

(2000.11.29 民団新聞)



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