民団新聞 MINDAN
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介護保険にとまどう在日同胞

川崎ふれあい館、地域社会で支え合う



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「相談窓口」開設から1年
同胞ヘルパー派遣、デイサービス橋渡しも
援護システム構築へ手探り

 【神奈川】川崎市ふれあい館(「重度館長)が在日同胞を対象に「高齢者相談窓口」を開設して以来、1年が経過した。これまで230件以上の相談を処理、ともすると介護保険制度から取り残されがちな在日同胞お年寄りを公的サービスにつなげる“駆け込み寺”の役割を担ってきた。来年からはデイサービス機能をさらに充実させていきたい考えだ。


◆手続き関連が最多

 相談件数で78件と最多を占めたのは、介護サービスの手続きに関連するもの。同胞高齢者は役所からの通知が届いても読めず、介護保険制度の枠外に追いやられがち。ふれあい館では個人の事情に合わせた公的サービスを受けられるよう、常勤者2人のほかにも母国語で対応できる時間スタッフを加え制度利用への便宜を図ってきた。


◆2・3世を担い手に

 手続き関連同様、ホームヘルパー派遣に関する相談も68件と比較的多かった。このうちすでに要介護と認定された8人の同胞高齢者に対しては市内の業者と連携、在日同胞二、三世のヘルパーを派遣できるよう調整した。利用者からは「制度が身近なものになった」という声が寄せられているという。

 ふれあい館ではこうした在日二、三世のホームヘルパーのグループ化を図っており、特別養護老人ホームで働く寮母や施設事業所関係者も加えて6月から毎月1回、情報交換を兼ねた自主的な学習会「マンナムの会」を開いている。現在、メンバーは13人。


◆お風呂への送迎も

 要介護になると入浴も困難になりがち。一人で銭湯に行くと、迷惑そうな顔をされる。かといって日本のデイサービスだけは利用したくないー。こんな同胞高齢者のためにふれあい館ではデイサービスのお風呂が空く夕方に借り入れ、ボランティアの助けを借りて送迎支援を行っている。7月28日から8月までに計5回実施、延べ27人が利用した。

 また、デイサービスを身近なものとして受け止めてもらおうと、川崎市内の介護サービス提供者の協力を得て「1日デイサービス体験見学会」も行っている。レクレーションでは民族文化を取り入れ、日本人の高齢者にも楽しんでもらっている。

 ふれあい館スタッフの一人は「非識字の在日韓国・朝鮮人高齢者は社会的契約関係の外に置かれてきた。この人たちの権利擁護システムを築かない限り介護保険は遠い存在のままだ」と話している。

(2000.11.29 民団新聞)



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