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総連中央は早く対話の席に



 歴史的な南北首脳会談から早や半年が経とうとしています。この間、紆余曲折はあったものの本国での南北和解に向けた交流は着実に進展をみせていると言ってもよいでしょう。

 長官級会談を軸に、国防長官会談、赤十字会談、経済実務会談などが相次いで行われ、京義線鉄道の復旧工事や離散家族の相互訪問が実施に移され、投資に対する二重課税の防止などが合意されています。

 祖国の平和定着を誰よりも願い、統一を千秋の思いで待ちこがれるすべての在日同胞は、これらの成り行きを強い期待を胸にじっと見守っています。


■民団は活発な交流を歓迎

 本国のこうした動きに呼応して同胞社会でも民団と総連の間で交流が盛んに行われています。地方本部と支部の間では、今年3月からだけでも約120件に及ぶ交流が実施されました。

 91年から昨年までの累計に匹敵する交流を、わずか9カ月で積み重ねたことになります。同胞社会の和合推進を活動方針の重要な柱のひとつとして掲げている民団としては、総連とのこのような活発な交流を大いに歓迎しています。

 ところが、残念なことに肝心な中央単位での交流が進んでいません。金宰淑民団中央団長の提議によって動き始めた総連中央との対話ですが、今のところ膠着状態に陥った感を拭うことができません。

 久しぶりに開始された民団、総連の中央レベルでの対話に対し、同胞の期待と関心は大きなものがあります。

 8月、9月に民団、総連の代表がそれぞれの会館を相互に訪問し合い、同胞社会の和解を目指して交流を始めようとしたのですが、ここにきて総連側の動きがぱたりと止まってしまいました。

 民団からの再三の呼びかけにも関わらず前回の対話から3カ月近くも話し合いが途絶えていることに、同胞のあいだから疑いの声が上がり始めているのも無理からぬことでしょう。


■協議機関速やかに設置を

 共通の関心事について協議し合うことを目的とした「協議機関」の設置に、双方は既に原則的に同意しています。対話が本格化すれば、共同で行える事業は多岐に及びます。

 一緒に忘年会や新年会、囲碁大会やゴルフ大会を行って親睦を深めるのもよいでしょう。介護保険への対応や高齢者・障害者に対する給付金の支給を自治体にともに求めていくことも可能です。

 南北関係の進展に寄与する活動も十分にできます。必要とあれば、北韓に対する食糧や医薬品の支援を共同で行うことも考えられます。

 両組織が共同で事業を行うことになれば同胞の圧倒的な支持を得られるでしょうし、両組織の力を合わせた以上の力量が発揮できるでしょう。それが同胞社会の活性化につながることも間違いありません。

 新世紀を生きる在日三・四世に希望を持たせるためにも、分裂したままの同胞社会を引き継がせるのではなく、同胞社会の和解と統一に向けた動きを加速化させるべき時なのです。

 民団と総連は在日同胞社会を代表する組織として、同胞の生活を守りつつ祖国統一への先駆けとしての役割を担っていく責務がありますし、またこのような同胞らの期待に応える責任もあります。

 総連中央が対話の席に早く着くことを望まずにいられません。

(2000.12.06 民団新聞)



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