民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<7>



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週5日制の運営を考える
李勲雨(東京韓国学校・初等部教師)

 今まで、私たちはいろいろな教育課題に直面してきた。

 残念ながら、その中のいくつかは、まだ克服できないまま今日に至っている。特に、学閥社会と受験戦争は、あいかわらず深刻であり、需要者中心の学習、生涯学習、社会への転換といったスローガンを掲げながら、困難を内包している。

 21世紀を迎えるにあたり、最近、韓国政府では来年から「週5日制」学校運営を拡大していくと発表した。これは、子どもたちをして自己主導的に学習していく能力を養う機会を提供する、という意図からである。いわゆる「新たな学力観への挑戦」である。

 想像もできないほどに変わるであろうこれからの社会を思えば、今の子どもたちが現在身につけ、習得した知識は、彼(彼女)らが主人公となって活動する20年ばかり後には、無用の長物になってしまうかもしれないと考える時、子どもたちに「新たな学力観」を根付かせることは時期適切なことでもあり、教育の危機を打開する解決策になるものと思う。

 しかし、「週5日制」学校運営が、ただ一週間にもう1日休むという概念でだけ受け入れられるのなら、それは教育の運命に関わる重大な誤りを犯すものである。

 すでに日本では、1カ月に2回、「週5日制」学校運営を実施しているが、教育課程の編成、教育内容の精選、地域社会との協力、家庭学習計画、体験学習、新しい授業技術の開発など、多くの問題点にぶつかり、その改善を模索している。なんとかして当面の難関を克服しようと、身もだえしているのが実情である。

 韓国では、数年遅れて推進を急いでいるが、「週5日制」は確実に学校の姿を変えるだろう。今までとは、まったくイメージの異なる学校として、学校と家庭と地域社会のネットワークが形成されるだろう。

 本校では、現在、月1回の「家庭学習の日」を実施している。遠からず施行される完全週5日制に備え、考えておくべきいくつかの問題を整理してみたい。

 第一に、子どもたちに余裕ある生活を提供する観点から、授業時間の減少にともなう教育内容の厳選が要求される。

 第二に、子どもたちの情報活用能力を育てることだ。コンピュータなどの情報手段を主体的に活用する方向で、教育方法を改善し充実させなければならない。

 第三に、保護者および地域社会における理解とネットワークの形成が急がれる。学校、地域社会、父母による共同した努力が必須の条件になるからである。

 要するに、教育課程の再編と厳選、新しい授業方法の導入と実践、学校行事の再編成と人的・物的資源の効率化が求められており、そのためには果敢な学校改革が避けられない。「いくら立派な教育改革も、教室の入り口で立ち止まってしまう」という言葉をしばしば聞く。これは、教師の思考の転換が教育改革においても最も重要だという意味である。

 新たな転換期を迎え、教師の意識改革を土台に、「週5日制」学校運営の成功的な定着を期したい。

(2000.12.13 民団新聞)



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