民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
鄭明勲氏とアジア・フィル

新世紀初頭に東京公演



指揮を執る鄭明勲氏

 韓国が誇る世界的指揮者、鄭明勲氏とアジア・フィルハーモニー管弦楽団による東京公演が2001年1月23日と27日、東京・千代田区の東京国際フォーラム・ホールAで開催される。

 公演では、21世紀開幕を告げるにふさわしい、ベートーヴェンの「第九」とヴェルディの「レクイエム」などが披露されるほか、300人を超える大型の合唱団も加わる。

 アジア・フィルは鄭氏自ら提唱した全アジア的プロジェクト。97年に韓国、中国、日本、さらにはシンガポール、マレーシア、べトナム、タイ、フィリピンの8カ国の若手トップ演奏家が集結して結成されたアジアのオーケストラ。

 同年1月に開催された東京・有楽町の国際フォーラム開館記念演奏会での初演を皮切りに、同年ソウル、98年には東京とソウル、そして99年ソウルでの「第九」と着実に演奏会を重ねてきた。2001年1月は3度目の日本公演になる。

 2001年1月、鄭氏とアジア・フィルは「アジアの主役」の時代への開幕を告げる音楽を奏でたいという。「熱意と人間愛」にあふれた鄭氏のさらに大きな活躍が期待される。

 東京公演のスケジュールは次の通り。

 1月23日=午後7時。料金S席1万1000円、A席9500円、B席8000円、C席6500円。

 27日=午後6時半。料金S席1万3000円、A席1万1000円、B席9000円、C席7000円。

 問い合わせは、MIN-ONチケットセンター(03-3226-9999)まで。


■□
「民族・国家こえた一体感を…鄭明勲氏語る

 今年10月下旬、「全州国際ソリ・フェスティバル」プレ祝祭に、ローマ・サンタチェチーリア国立アカデミー管弦楽団を率いて参加した鄭氏は、韓日の不幸な過去の歴史のために、長い間日本での演奏会を極力避けてきたと率直に語りながら、「次世代の人たちにそのような先入観があってはならない。もっと互いの理解を深める必要があり、そのためにアジア・フィルも存在する」と強調した。

 若き音楽家たちによる、民族や国家、イデオロギーを超えた人間の交流を通しての相互理解、一体感を生み出そうとする試みは、新世紀にアジアが克服すべき諸課題解決への強力な後押しとなるだろう。

 また、来年1月の公演プログラムに関して、「ヴェルディとベートーヴェンは、音楽の様式やサウンドは全く異なるが、精神性には偉大な共通点がある。神への信仰に基づいて作曲活動を行ったブルックナーやメシアンとは違って、2人は『人間の内なる力』への信頼を基として、『レクイエム』や『第九』を書いた。

 ヴェルディの考えは『リベラ・メ(我を自由に)』というレクイエムの最後の二言に集約されている。ベートーヴェンもまた『フライハイト(自由)』を強調している。全ての音楽は、『人間の内なる力』、すなわち人間精神に宿る高潔さ、誠実さといった『善なるもの』を呼び覚ますためにある」と、偉大な2人の作曲家が人類に贈ったメッセージ「人間への賛歌」について熱っぽく語った。

 21世紀の初頭に開かれる今回の公演を「新世紀はアジアの時代」と位置づけている。

(2000.12.13 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ