民団新聞 MINDAN
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金民団中央本部団長の新年辞

和合・参政権・銀行設立・W杯
全同胞の力を結集しよう



金宰淑民団中央本部団長

親愛なる同胞の皆さん!

 2001年の新年を迎え、在日同胞の皆さんに謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 21世紀の幕開けに際して私は、新しい世紀が人間らしく生きていくことのできる人権尊重の世紀となるよう願っています。

 過ぎ去った20世紀は戦争の世紀といわれる苦難の世紀でした。私たち在日同胞は日本帝国主義による祖国の植民地支配によって他郷暮らしを余儀なくされ、亡国の哀しみを体験しました。

 第二次大戦の結果、もたらされた祖国の解放も束の間、同族相殺の戦争で祖国の分断は決定的になり、韓国民団と朝鮮総連に二分されていた在日同胞社会も活力がそがれながら今日にいたっています。

 しかしながら、私たち在日韓国人は排他的な日本社会にあっても民族の自尊心を忘れることなく、在日韓国人として誇り高く生きるために、権益擁護運動を継続してきました。70年代に推進した行政差別撤廃運動と80年代の外国人登録改正運動が、その最たるものです。

 また、祖国愛を忘れることなく、韓国戦争で荒廃した祖国の復興に、ともに汗を流すだけでなく、ソウル五輪などのスポーツ大会では物心両面にわたる支援で世界に向けて祖国の威信を高めました。

 90年代後半に祖国を襲ったIMF危機では、外貨支援や投資を積極的に進めたことは記憶に新しいことでしょう。

 今や在日同胞は、日本にあっては定住外国人の先駆者として外国籍住民に位置づけられるとともに、韓日間にあっては架け橋としての役割を果たすことが期待されています。

 在日同胞の地位の向上と社会的認知は、この間、不屈の闘志で逆境を跳ね返してきた多くの先達と、その求心体として機能してきた民団の底力を示してあまりあると自負する次第です。

 祖国も近代化と民主化を達成し、先進国隊列に名を連ねる発展を遂げました。

 親愛なる同胞の皆さん!

 今日、私たちを取り巻く周辺状況は刻々と変化を続けています。

 昨年の6月15日、祖国では金大中大統領と金正日国防委員長による歴史的な首脳会談が成功裏に行われ、それを一大契機に南北離散家族の再会が始まり、数次の南北閣僚級会談を通して、人道的、経済的交流が本格的に実現する運びとなりました。

 遮断されている京義線の連結も進められ、平和の定着と統一への胎動が始まったと言っても過言ではありません。


■同胞の和合と交流

 新しい21世紀の序章は、南北がともに力を合わせて和合を果たすことから始めなければなりません。

 私たち在日同胞も和合と交流を促進しながら、在日同胞社会の統一を半歩でも早める具体的な作業に着手すべき時です。

 朝鮮総連との交流は地方本部、支部単位では活発になってきましたが、残念ながら中央本部単位では双方の幹部が二度ほど対話をしたものの、諸問題解決のための分科会設置という民団の具体的な提案に対して総連は答えを留保したままになっています。

 在日同胞の和合と交流はすべての同胞の願いです。総連は在日同胞あっての団体であるとの原点に立ち返り、1日も早く対話のテーブルにつき、時代の要請と同胞の願いに応えることを再度要望する次第です。


■地方参政権の獲得

 次に、私たち在日同胞にとっては、今後も生活をしていく日本社会で日本人と対等に生き、地域社会に今まで以上に積極的に貢献するために、地方参政権の獲得が急がれます。20世紀中の解決を目指して努力を傾けてきましたが、地方選挙権法案は保守的な日本の政治風土の中で継続審議となりました。

 しかし、各種世論調査の結果を見ても、永住外国人への選挙権付与は日本人多数の支持を得ており、成立はもはや時間の問題です。在日同胞がルーツを大切にしながらこの日本社会で堂々と生きていくために、今一度、私たちの持てる力を結集して権利を勝ち取りましょう。


■同胞の銀行設立

 三番目に、私たち同胞の経済生活を支える在日同胞の銀行設立に全力を尽くしたいと思います。

 幸い、韓国政府もこの問題に高い関心を示し、支援する考えを明らかにしています。

 在日同胞が結束し、21世紀の主人公となる三、四世の期待に添う強固な経済基盤をつくりましょう。


■W杯への後援

 四番目に、いよいよ来年に迫った韓日共催のサッカーワールドカップという課題があります。

 この世紀の慶事こそ韓日両国の諸事情に精通している在日同胞が架け橋になれるかどうかの試金石と言えます。

 広報活動を中心に、開催地の韓日各10カ所の自治体と当該の民団がタイアップし、各種イベントを開催しながら、日本社会に向けては韓国のよさを、韓国社会に向けては在日同胞と日本社会の共生を示していきたいと思います。

 経済的支援については、「在日後援会」を中心に組織募金に着手します。


■21世紀の夢づくり

 活力に満ちた在日同胞社会の未来創造に向け、私は誰もが気軽に参加できる民団づくりのために、21世紀委員会の「基盤づくり」「組織づくり」「くらしづくり」「人・文化づくり」の各部会で研究したものを政策にいかし、同胞のニーズに応える活動を進めていきたいと思います。

 IT革命の時代に合わせ、人と情報をつなぎ時代に合った活動も取り入れていきます。

 私は先頭に立って同胞の皆さんとともに力強く前進していくことを誓うとともに、21世紀に同胞の皆さんの夢が実現することをお祈りしながら、新春のごあいさつといたします。

(2001.0101 民団新聞 新年特集号)



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