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わが街・ウリ支部

福岡・遠賀支部…精力的に地域奉仕



今年度中に新築が
計画されている
遠賀韓国会館

◆活発な行政対応で「民団」への理解深まる

 九州で同胞が最も多く居住する福岡県。福岡県北部、玄界灘に面した中間市、水巻町、芦屋町、岡垣町、遠賀町の一市四町にまたがる地域を管轄するのが遠賀支部。

 210世帯900人の団員を擁する福岡県下16支部の中の中堅を担う。

 すでに形骸化しつつある班組織もきちんと機能している。16ある班が団員を把握、広報や団費の徴収も班を通じて行われており、団費は免除者を除けば、ほぼ100%の徴収率だという。膨大な団員でもなく、また少なくもない「ちょうど良い人数」と李昇鎭支団長(54)がいうだけに団員把握は確実に行われている。

 同支部は伝統的に団員の信頼関係が厚いといわれるが、それも歴代の役員たちが「住みやすい、生きやすい社会づくり」を活動の基本に置いてきたからだ。

 住みやすい社会づくりを目指すために、特に日本の行政に対する働きかけを粘り強く進めてきた。新執行部が誕生すれば、あいさつ回りをする支部は多いが、その場で必ず地域奉仕や韓日親善活動、行政に対する要望をこと細かく伝えてきた。

 ひとえに「民団が地域の自治体に認められた存在になろう」という視点からだ。認められてこそ、民団の主張が受け入れられるという考えからだ。

 この間、青年会と婦人会の全面的な協力を経て、地域奉仕・韓日友好のために韓日のスポーツ大会の通訳ボランティア、水巻ふれあいフェスタなど自治体などが主催するイベントへの出演などを継続し、地域では「民団」という名前が定着した。今では各方面から出演要請や依頼がかかるという。

李昇鎮支団長

 また地域の小学校で韓国文化の紹介や人権に関する講演も数多くこなしてきた。これも在日韓国人や民団の存在を学んでほしいという思いから取り組んでいる。

 昨年春からは韓国映画上映会や韓国語学習講座も、地域の日本市民にまで対象を広げて実施した。これも市民に対して民団の敷居を低くし、理解を深めてもらいたいという趣旨からだ。

 長年にわたるこのような積み重ねがあったお陰で、公務員採用試験の国籍条項は管内全自治体で撤廃されている。また定住外国人への地方参政権付与に関する意見書も、早い時期に全自治体議会で採択された。

 日本の国民年金制度から弾き出されている高齢・障害同胞一世の無年金者への自治体給付金制度も認められている。高齢者が月額7000円、障害者には1万円が支給されているが、介護保険制度が始まった今、増額を要望している。

 全国的にも、団員の世代構成も変化し、一世のような民族的な色濃いつき合いは薄れつつある。要するに民団と団員とのパイプが細くなっている。今、李支団長は「団員への還元」をモットーに団員と支部とのパイプを太くしようと懸命に活動する。年末の時期、支部の役職員が一丸となってカレンダーを無料配布しながら全団員宅を巡回している。

 オリニのためのバーベキュー大会など団員各世代各層にかかわる事業をより強力に展開したいという。李支団長自身が青年会活動から民団に身を投じた経験を持つだけに、各世代を網羅する組織を通じて「人材を育てていかなければ」という思いが強い。

 今年度中に会館を新築する。その際に、多目的室を設けて「高齢の同胞に集まってもらい、食事でも出せたら」というミニ・デイサービス計画を考えている。

 支部の動きは、支部通信「遠賀コリアだより」を通じて逐一団員に広報している。

 執行部の協力態勢と議決・監察機関、顧問団の理解と協力なしでは支部の活性化はおぼつかない。団員と民団をつなげる直接的な現場として支部がある。遠賀では、古くから支部活動のレールが敷かれており、今そのレールの上を走る執行部は、次世代につながる種をまいていると言えそうだ。

(2001.01.01 民団新聞 新年特集号)



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