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国政5大指標、国民と共に実践

金大中大統領・2001年新年辞(全文)



 敬愛する国民の皆様!

 21世紀の第一歩となる年の、新しい夜明けがやってきました。

 全ての国民の皆様が希望に満ちた幸福な1年を迎えられ、我が国民が勇気を取り戻し、新しい発展を成し遂げる希望の1年となることを心よりお祈りします。政府も徹底的な自己省察をもとに、国家と国民のために新年が必ず栄光の1年となるよう、総力を尽くして国政改革に献身します。


 尊敬する国民の皆様!

 今日、私は新たな気持ちで過去3年間を簡単にもう一度考えてみようと思います。これまで国民の政府は、IMF経済危機を克服し、構造調整の四大改革と共に、知識情報化の推進に全力を注いできました。民主主義と人権を伸張させ、福祉国家の基盤も作りました。また、積極的な外交政策とASEMの成功により、我が国の国際的位相を大きく高めました。そして南北首脳会談を実現させ、分断から半世紀ぶりに、民族の歴史に平和と協力を目指す新しい時代を切り開きました。

 しかし、今、我々は困難な現実に直面しています。特に、経済がそうです。景気が停滞しています。株価が暴落し、数百万人の投資者が大きな損失を被っています。そして、失業者が増えています。経済全般を巡る危機意識が高まり、国民の士気も落ちました。本当に残念なことです。

 このようになったのは、外部的な影響が大きいのも事実ですが、我々の内部的な責任がより大きいと思います。IMF為替危機を克服したという安逸な認識により、構造調整を徹底することが出来なかったことが何よりも重大な原因でした。もし、金融、企業、公共、労働の四大改革をより徹底していたら、状況は今のように厳しくはならなかったでしょう。

 全般的な改革の方向は正しかったのですが、実践を徹底することが出来ませんでした。

 この全てが大統領である私の責任であると痛感しつつ、国民の皆様にお詫びと慰労の言葉を申し上げます。そして、私と政府は、新たな覚悟で新年の国政に臨み、今年を苦難の克服と希望への1年とすることを固く誓いたいと思います。


 尊敬する国民の皆様!

 21世紀が本格的に始まる今年は、我が国の運命を分かつ重要かつ大きな年です。経済の再飛躍を成し遂げ、世界一流の国家として進む基盤を固められるかどうかが、今年1年の我々の肩にかかっています。

 構造調整に伴う1時的な苦痛を恐れて改革を完成出来なければ、「大墜落」から免れる道はありません。しかし、我々が今日の苦痛に打ち勝ち、四大改革を成し遂げた時、蒼々たる「大飛躍」の明日があります。これは、全世界の経済専門機関とその関係者が一致して下した韓国経済に対する評価なのです。

 我々には可能性があります。我々はやり遂げなければなりません。いや、やり遂げられます。

 私は国民の皆様と約束した通り、2月までに第二次四大改革の基本課題を完遂させます。それ以後は、市場が求める常時改革体制に転換します。競争力のある企業だけが生き残れるようにし、健全でない企業は直ちに整理します。

 勤労者の合法的で平和的な権利の主張は、確実に保証します。しかし、不法行為と暴力は決して受け入れません。世界が見守っています。新しい労使文化の中で企業も生き、労働者も生きる生産的関係だけが、我が経済の明日の飛躍を保証するのです。

 新年は、この地から不良金融機関、つまり健全でない金融機関という言葉が消えるよう、徹底した金融改革を繰り広げていきます。また、公共部門が改革の模範となる年になるよう、責任を持って努力していきます。企業、労働、金融、公共部門の四大改革が実践さえすれば、我が国の経済は今年の下半期から再び回復し、世界的な経済強国を目指して力強く前進することになるでしょう。


 国民の皆様!

 国政は、何よりも経済がしっかりとしていなければなりません。しかし、勿論経済が全てではありません。国政の全ての分野が等しく健全でなければ、国民は完全な自由と幸福を享受することは出来ません。

 このような意味で、私は今年の国政の五大指標を、民主人権国家の具現、国民大和合の実現、知識経済強国の構築、中流層と庶民の保護、そして南北平和協力の実現と定め、これを国民の皆様と共に着実に実践していこうと思います。

 第一に、完全な民主・人権国家の具現のために、より一層努力します。与野党間の対話と協力の共生の政治を必ず実現させます。人権法と反腐敗基本法の制定、国家保安法の改正等改革立法を実現させます。

 第二に、国民の大和合を成し遂げることに全力を尽くします。国民和合無しには、国家競争力も南北和解も期待出来ません。地域対立を助長する政治を断固として排除し、地域間・階層間の均衡発展のための制度的・政策的改革も断行していきます。

 第三に、知識経済強国の建設のために、伝統産業と情報通信産業、生物産業を三位一体で発展させ、経済の新しい飛躍を必ず成功させます。我が国は、全国的な超高速情報通信網を既に昨年末、世界で初めて構築しました。我が国民のインターネット人口は、世界で最も速い速度で増加しています。インターネット人口が欧州各国や他のアジア国家より多い状況です。2003年までに電子政府を完成させます。それが実現すれば、我々は屈強の知識強国となるでしょう。

 第四に、中流層と庶民の生活を必ず安定させます。国民生活の基礎の保障、雇用保険、職業訓練、失業者雇用業者に対する給与支援等の現行の社会安全網をより強化し、生産的福祉を確実に定着させます。全国民に対する情報化教育も滞りなく推進します。中小建設業界の活性化と在来市場の改革を積極的に支援します。農村経済の活性化への対策も、積極的に発展させていきます。

 最後に、南北間の緊張緩和と交流協力を着実に推進し、平和と繁栄の韓半島時代を切り開きます。対北韓政策に対する国民的合意基盤をより強固にし、超党派的な協力を通じて国民が信頼できる南北関係となるよう努力します。その一方で、完全な平和体制が成し遂げられるまで、確固たる安保体制を維持し続けます。


 尊敬する国民の皆様!

 我が国民は、実に驚くべき底力と愛国心を持った国民です。わずか2年前の今より厳しい国家危機も、渾然一体となって克服した国民です。対話を通じて問題を解決する能力もあります。昨年には、医薬分業、韓国電力、韓国通信、鉄道庁等数多くの紛糾した課題を、遂に対話で解決しました。最大の山場であった金融労連のストも、最後は対話で締めくくりました。政界では、対立も多くありましたが、対話の政治も続けられています。

 私は、このような偉大な国民と共に、21世紀の第一歩となるこの年に、新しい国政の出発と経済的飛躍の基礎固めを必ず成し遂げるつもりです。

 今年の上半期に着実に改革を推進していけば、下半期からは安定成長の軌道に乗ることが出来ます。今の困難を世界的先進国家となるための、文字通り「災いを転じて福と成す」機会にすることが出来ます。

 私はそれを確信しています。自信を持ちましょう。成せると思えば困難なことも克服出来ます。IMF経済危機克服がこれを証明しています。悲観するばかりでは本当に悪くなってしまいます。私を信じて共に難局を乗りこえましょう。我々の希望は確かです。

 私は1時的な人気にはこだわりません。正道を歩みます。原則を守ります。国政の先頭に立ち、揺るぎなく前進していきます。国民の皆様の惜しみない声援をひとえに望んでいます。


 敬愛する国民の皆様!

 希望の21世紀の扉を思い切り開けて、共に前進して行きましょう。

(2001.01.17 民団新聞)



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