民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<11>



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21世紀にふさわしい人材育成
(梁東洙・京都韓国学園特進班日語科)

 私は大学卒業後、30年近く進学塾の経営のかたわら、大手予備校、専門学校等において講師として直接指導し、その分野で一定の高い評価を受けてきました。昨年京都韓国学園高校が特進班を発足させるにあたり、私の長い教育経験を活用させないかとのお誘いがあり、私のささやかな知識と経験が在日同胞の子弟の教育に役立つならばと、教鞭をとらせて頂いております。

 私の担当する日語指導は、民族学校においてその位置づけがむずかしい面があります。すでに民族意識の確立している人にとっては、英語や数学などの他の教科と同じように、日語は学習すべき教科として自明のものと言えます。しかし民族意識の確立していない中学生・高校生に、不用意に日語を有用性だけのもとに指導することは、民族教育に否定的な影響を及ぼしかねない面を持っています。

 この点に留意し、日語指導においても民族意識を高めるよう、抑制のきいた節度のある指導をしなければならないと考えています。また本国から来日して入学する生徒にとっては、この教科になじめるかどうか気がかりのあるところですが、今までは大きな問題は生じていないようです。

 日語は現代文、古文、漢文の三分野に分かれており、現代文の教材の内容は国際性の豊かなものであり、論理力の向上に役立つものです。漢文、古文の学習には背景として儒教、仏教の知識が必要で、幅広く奥深い東洋思想の一端に触れることになり、将来必ず役立つ教養となると思います。

 韓国高校においては日語指導に多くの時間をとることはできません。限られた時間に成果をあげるには塾的・予備校的指導を図るほかありません。塾的・予備校的指導とは、指導する側が試験の性格、入試の傾向に精通し、短期間に必ず生徒の希望する学校に合格させるよう邁進し、師弟ともども熱中することです。まだまだ成功とは言えませんが、大検には高校入学後およそ半年でほぼ全員が、受験科目の合格を成し遂げています。

 民族教育に理解のある保護者も、自分の子弟を大学等に進学させるために、日本の普通高校へ進学させる傾向があるように聞いています。私はこの流れを逆転させたいと考えています。他の理由は別にしても、進学準備のために日本の普通高校に進学するよりは、韓国高校に通うことの方がより有利であり、本国留学を含めて多方面の進路が開かれる局面を作り出したいと考えています。

 手応えとしては、トップの中高一貫私立進学校には及ばないかも知れませんが、公立進学校に追いつき、追いこす可能性は充分あると考えます。公立進学校に優位する指導内容を創りあげ、軌道に乗せたいと考えています。

 私はもちろん進学することだけがよいと考えているのではありません。もっと多方面に生徒が社会進出し、その才能を開花させて欲しいと考えています。しかし本国においても進学熱は高く、東アジア全体がそうです。私は、在日同胞の民族学校においてもこれらに負けないという意地を示したいと考えています。

(2001.01.24 民団新聞)



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