雨のち曇りの凍てつく寒さの国立競技場で開かれた韓日決戦。競技場をサポーターたちが埋め尽くした。
韓国から来たサポーター、レッドデビルを人数的にはるかに上回る在日同胞。招待された朝鮮学校サッカー部42人を含む韓国側応援団1200人は、民族楽器を打ち鳴らしながら5万人を超える日本側サポーターに必死になって挑んだ。
井の中の蛙の「鎖国サッカー」を頑なに守ってきた韓国が、98年仏W杯で超攻撃的サッカーで世界を虜にしたオランダ代表監督フース・ヒディンク(54)氏を監督に決定した。同大会の一次予選で5対0とアジアの虎、韓国をアジアの猫に墜落させたその人だ。
韓国選手の先発メンバーの紹介と同時に日本側サポーターから浴びせられるブーイングの嵐。最も激しかったのは、久々に日本に登場した崔龍洙と柏レイソルに所属する洪明甫だ。崔とセリエAペルージャで頑張っている安貞桓が2トップ。李天秀をトップ下におき、左サイドには李栄杓。守備的ミッドフィルダーには意外にも洪明甫が入り中盤を支えている。そして、洪明甫のレベルに達していない3人のディフェンダーという布陣だ。
新生韓国代表と呼ぶには程遠い先発メンバーだが、ヒディンク監督がこの韓日戦で何を得ようとしているのか、の方が興味津々だった。12月18日の正式契約から2日、戦術やイズムは期待できない。ただ、韓日戦になると実力以上のものを見せる選手たちの限界を把握できる一戦であることは間違いなかった。
20世紀最後の韓日戦は、結果的に1対1の引き分けに終わった。ヒディンク監督はゆっくりと選手ルームに戻った。
五分程度の短い訪問、そこで何があったかは不明だが、動き一つ一つが気になる。
ともあれ、気が早いと言われそうだが、ヒディンク新韓国監督のサインを貰った初めて(?)の韓国人として、21世紀には新たな希望と夢が見られそうだ。
(千葉県市川市)
(2001.01.24 民団新聞)
|