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地方選挙権付与法案の成立を



 21世紀に私たちは足を踏み入れました。この世紀を私たちはどう歩き、どのような道を示し、どのような社会をつくっていくのか、問われています。

 問われているのは個人だけではなく、どの組織体も、どの国家も同様です。

 本団は21世紀を「平和と人権と共生の世紀」とするために最善を尽くしていきます。過去の世紀の「差別と対立と争い」を繰り返してはならないと考えるからです。


■これ以上失望させないように

 その21世紀最初の通常国会が1月31日から始まります。

 長年、私たちが「住民」の権利として要望してきた永住外国人の地方自治体選挙権法案が、今度こそ成立することを信じてやみません。

 日本全国の多くの外国人住民が昨年11月の臨時国会での審議を見守っていました。それは、「20世紀中の実現」を強く期待していたからです。

 言葉をかえて言えば、「日本の良心」を期待していたともいえるでしょう。

 遺憾ながら、法案は三度目の継続審議となりました。しかし、参考人聴取も行い、与党幹部が言うように、「ほぼ審議が尽くされ、採決の環境は熟している」ところまで来ています。

 今度の国会で、永住外国人住民の地方自治体選挙権が実現できないなら、日本に対する私たちの希望はとても小さくなるでしょう。「これ以上失望させないでほしい」、というのが私たちの率直な思いです。

 私たちが求めている地方自治体参政権というのは、一言でいえば「住民」としての権利を認めてほしいというものです。

 この願いに対して、最高裁は95年に永住外国人住民に地方自治体レベルの選挙権を付与しても違憲ではなく、「許容」されるとする画期的な判断を示しました。


■日本の良さを発揮する道へ

 私たちを同じ住民として認め、政府に立法措置を求める全国自治体の意見書採択も千五百近くに至っています。外国人住民が住んでいない自治体を除くと、すでに過半数の自治体が採択していることになります。

 各種世論調査でも65%が賛同しています。国会は一部の強硬な反対論にまどわされてはなりません。

 反対派の主張は、外国人住民は永住資格があっても、日本国籍を持たない限り、「住民」としての権利は認めないというものです。地域に密着した住民としての実態を見ずに、国籍だけが判断基準になっています。

 そこには、永住外国人住民の「人権」に配慮した意識が欠落しています。同じ仲間としてともに生きようという「共生」意識にも欠けています。さらに、戦争や対立を想定することによって、「平和」への希求意識にも欠けます。

 21世紀の日本はこれでよいのでしょうか。日本人の意識変革が求められています。

 これからの日本は国籍至上主義を乗り越え、人権を中心に据えた共生主義への道を歩むことこそ、日本の良さを発揮する道ではないでしょうか。アジアはじめ世界もそれを望んでいるのです。

 永住外国人の地方参政権問題は、日本を1回り大きくする好機であって、道をふさぐことは国際社会からの後退を意味します。

 良識に従い、法案が今期国会で必ず成立することを私たちは強く念じています。

(2001.01.24 民団新聞)



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