民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<12>



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集大成の6年生を担任して
韓清光(金剛学園・小学校教頭)

 私は、3年から6年までの担任の経験をしてきました。中でも6年生を受け持つことが一番多く、その学年の学習の取り組みについての心構えと方法について、自分なりに実践してきたことをまとめてみようと思います。

 まず6年の担任ということは、単に他の学年の担任のように、その学年の教科だけを習得させればいいんだとは考えてはいません。というのは、6年終了とは、即ち金剛学園小学校の卒業生となるからです。

 この卒業生が、上の段階の中学校生活を送ったときに、「何だ。この小学校の卒業生は、この程度の学力しかないのか…」と批評されたくないのです。特に本校のように、小規模校となると、どうしても社会の評価は厳しくなってしまいます。

 その評価を変えていくには、本校を巣立つ子供達一人ひとりに高い学力を身につけさせ、徐々に世間の評価を変えていくしか方法はないと私は考えています。

 最近は、この努力が実ったのか、特に多くの学習塾で、本校の児童を高く評価しているとの風聞を聞いて、内心喜んでいます。

 では、子供達の学力を高めるのに、学校全体でどのような取り組みをしているかというと、まずは児童たちがその学年での学習内容をしっかり習得するように、全教師が一丸となって取り組むことです。

 特に、民族教科としての韓国語は、教科外の"ゆとりの時間"を利用して、一、2年は週6時間も学習し、本校の主要教科として最大の力を注いでいます。また学力を高める土台となる教科内容としては、漢字と算数を重要視しています。

 そこで本校では、この三つの分野で各学期ごとに、一斉学力テストを実施しています。それも指導教師が問題を作成するのではなく、他の学年の教師が作成し、試験監督から採点まで行います。

 教科指導の教師にとっては、自分の学習指導の評価ともなるので、自然に必死とならざるをえませんし、また子供達も競争意欲にかられ、よい点数を取れば金・銀・銅の表彰をされる楽しみもあり、その時期になると全員必死で勉強をします。なかには、いつもやっている放課後の補習日以外にも、補習を担任や教科の教師にねだる子供達もいます。

 今年度の二学期の試験では、算数計算試験で、1年生の全員が金賞を取り、平均点97点という快挙をなしとげました。

 つい最近のテレビで、大学生の学力低下についての特集番組が報道されました。そこで単純な分数問題を解けない学生がいると知って、いささか唖然としました。なぜなら、「分数の掛け算・割り算」は小学校6年で習得されるべき単元だからです。私は、四則計算は算数の基本であると、以前から習得に力を注いできました。

 その方法は、この単元の学習後、子供達に毎日「1日一問」の四則計算の複合問題を宿題として出すことです。それも全国の中学入試に出題された問題を学校名とともにプリントに書いて黒板に掲示し、翌日ノートを提出させ、不合格の場合は休み時間にやり直しを指示するのです。

 もし解き方が理解できていない場合は、解き方の方法を説明して、合格するまで何度でもやり直しをさせます。

 次に算数で子供達が苦手とするものに「文章問題」があります。これについては、数種類の問題集から、植木算・和差算・流水算・旅人算・つるかめ算…等、31項目に分け、項目ごとに三問の問題をつくり、問題集にしました。それも項目毎の一番目の問題を宿題にして、授業時間に解答の説明をします。

 しかし、このようなことを実施していくと、必然的に子供達にとっては宿題が多くなり、負担が大きくなります。そこで子供達は「宿題が多い…」と、私に不満をぶつけることがあります。そのときは、次のように答えることにしています。

 「私の趣味は、勉強で君達をイジメルことだ…」。

(2001.01.31 民団新聞)



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