民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
団員との有機的連携強化を



 在日同胞社会も世代交代が進み、今や2世が責任世代となっています。解放後、日本に残った1世たちは、自らの権益を擁護し、生活を安定させるため、1946年に民団を作りました。以来、半世紀以上にわたる55年間にわたって民団組織は在日同胞の生活者集団としてその役割を果たしてきました。


■団員サービスの充実こそ必要

 民団の組織力量を持って、日本の健康保険制度への加入、公営住宅の入居、行政差別の撤廃、指紋押捺制度の撤廃など、在日同胞が日本に居住していくうえで不利益を被らないよう、広く日本政府に働きかけてきました。その結果、多くの公的制度の門戸が開放され、在日同胞がその恩恵を享受しているのです。

 団員が団費を納め、その費用を元に民団は、団員に有益なサービスを展開する。このような有機的なつながりが果たせてこそ、民団の存在意義があるのです。

 民団新聞ではこの間、団員との有機的なつながりを持って有意義な活動を展開している支部を紹介してきました。ひとえに、これらの支部で取り入れている有益な活動を多くの支部でも活動の一環として取り入れてほしいからです。

 大阪の泉北支部では、支部の一階部分を使い、同胞のお年寄りを対象にしたデイサービス事業を実施しています。独居老人たちに食事を提供し、なによりも故郷の言葉で語り合う場を設けたことがすばらしいと思います。多くのお年寄りが集い、本当に気兼ねのない一日を過ごしていきます。日本のデイサービスではここまでの開放感は得られないでしょう。

 同胞社会も高齢化問題は深刻です。このような時期に支部がデイサービス制度を実施することによって、団員からの信頼感はぐっと増しました。会館の補修費用が比較的簡単に集まったことが、団員からの信頼が深まったことを証明しています。


■信頼感与える活動展開しよう

 また愛知の瀬戸支部では、名前だけの支部役員を廃し、全員が団員宅を訪問する実のある活動を続けてきました。各課長は自ら企画立案し、予算編成にもかかわるといいます。各自に責任を持たせ、意欲を引き出そうとする意味合いからです。これらの方針を持って「団員の顔が見える活動」を合い言葉に戸別訪問を続けてきた結果、団費集金率はほぼ100%近いといいます。

 まだ紙面では紹介していませんが、全国には団員サービスを念頭に置いて積極的に活動する支部も多くあります。兵庫のある支部では、満一歳を迎えた児童に韓服を着せて記念撮影してくれる制度を取っています。幼児を持つ20代、30代の親たちに民団に足を運んでほしいからという願いを込めています。

 これら団員サービスを実施している支部は、ほとんどが団費集金もスムーズです。団員サービスが浸透すると、民団に対する認知度と信頼感が増し、団費収入も増えます。収入が増えると、これまでできなかったより多彩な活動が展開できるという好循環が起きるのです。

 地域によって様々な状況があり、単純にそのまま支部に導入できないかも知れません。しかし、契約社会という日本社会のなかで育った2世、3世は、1世と違って無条件に祖国や民団を支持・賛美するものではありません。団費に見合う代価を民団に求めているといっても良いでしょう。団員と有機的な結合を図りながら、21世紀の新しい同胞社会を切り開きましょう。

(2001.01.31 民団新聞)



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