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離散家族「常設面会所」早急に設置を



 今年初の南北対話となった第3回南北赤十字会談(1月29日〜30日、北韓・江原道金剛山)では、(1)南北それぞれ100人ずつからなる第3回離散家族相互訪問を今月26日から28日まで実施する(2)南北分断後初の離散家族間書信交換を、生死・住所確認済みの300人を対象に3月15日に試験的に行うことなどで合意をみました。書信交換は、昨年9月の第2回会談で同年11月中に実施することが決まっていたものです。


■離散家族問題の制度的解決へ

 しかし、昨年6月の第1回赤十字会談で設置に合意をみていた離散家族再会定例化のための面会所設置の場所と運営開始時期の決定は、次回第4回会談(4月3日〜5日)にまたも持ち越されました。

 そもそも面会所設置の場所と時期については、昨年9月初旬の「非転向長期囚送還」後直ちに「決定」することになっていたものでした。

 これ以上先送りをしてはなりません。南北分断と「6・25韓国戦争」(50年6月〜53年7月)の混乱で南北に別れ別れとなった離散家族は、双方合わせて1000人にものぼり、韓国内には約767万人います。このうち離散一世代は123万人と推定されています。特に60歳以上の高齢離散家族が69万人を数え、そのうち70歳以上だけでも26万人にのぼります。これらの人々に残された時間は限られています。

 離散家族問題は、最優先的に解決されねばならぬ人道的問題です。当事者の苦痛を少しでも軽減するために開始された再会事業は、高齢者を優先して進められねばなりません。この人々を中心に考え、交通の便や安全性、費用などをも考慮するならば、なぜ北側が板門店と復旧後の京義線連結地点の非武装地帯内でなく「金剛山設置」にこだわり、面会所の設置をズルズル先送りするのか理解できません。

 昨年6月の南北首脳会談以後、これまで2回の離散家族相互訪問に参加できたのは双方合わせて400人にすぎません。仮に毎年1万人ずつの参加が実現したとしても10年で10万人にすぎません。1000万離散家族全員の再会実現にはほど遠い数です。


■「北送」同胞の生死確認・往来も

 今回の赤十字会談で、南側は「年間1万人の離散家族生死・住所確認」を提案したといいます。離散家族再会の制度化と拡大へ、常設面会所を1カ所だけでなく、利用しやすい場所に可能な限り多く設け、1人でも多くが早い時期に自由に家族・親戚と再会できるようにするべきです。

 このためにも、生死・住所の確認が早急に進められなければなりません。この1〜2年以内に完了させる決意で推進されることが望まれます。同時に書信の交換も拡大されなければなりません。

 すでに91年12月の「南北基本合意書」では「自由な書信交換と往来と再会および訪問の実施」のみならず、「自由意思による再結合を実現」することに合意していることを想起すべきです。

 離散家族の苦痛が制度的に軽減されるならば、同胞としての情愛がいっそう深められ、一体感もさらに強まることでしょう。離散家族問題の解決は、南北関係の進展、和解推進に大きな位置を占めています。

 われわれ在日同胞としては、より身近で切実な離散家族問題として、「北送同胞」の生死・住所の確認と在日家族・親戚との再会・相互訪問も、速やかかつ広範に保障されることを望んでやみません。

(2001.02.14 民団新聞)



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