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慎武宏の韓国サッカーレポート

アジアの虎の鼓動



ドイツのブンデスリーガに
移籍した李東國

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21世紀、変ぼうする韓国サッカー
在日大韓蹴球団の挑戦にも期待

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進む韓国選手の欧州移籍

 今年の韓国はかつてないほどの大寒波が続いている。フース・ヒディンク新監督率いる新生韓国代表を取材するために香港に向かったあと、そのまま2002年W杯開催都市取材のために釜山を訪れたが、「雪とは無縁の港街も白銀の世界に包まれたほどだ」とタクシー運転手も驚きを隠さなかったほどだ。とはいえ、サッカー界ではホットなニュースが相次いでいる。


◆第2の韓国人ブームへ

 例えば李東國のドイツ進出だ。21世紀韓国サッカーを担う新進ストライカーは、ドイツ・ブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンと契約を交わした。その契約期間は2001年6月までのレンタル移籍。だが、活躍次第では、シーズン終了後に完全移籍が実現する公算が高い。すでに2月3日には途中出場ながらブンデスリーガ・デビューも果たしている。

 ブンデスリーガと言えば、かつて車範根、金鋳城、黄善洪らがプレー。特に車範根の活躍は目ざましく、“チャ・ブーム”なる新造語も生まれた。それだけに国内の期待も大きく、“第二のチャ・ブーム”再現に注目が集まっているのは言うまでもないだろう。

 しかも、その李東國に続き、崔成勇と姜テツもヨーロッパに進出することになった。ふたりは揃って、オーストリア一部リーグのLASKリンツでプレーすることになった。


◆すでに6人が欧州進出

 これに、すでにイタリア・セリエAのペルージャに在籍している安貞桓、ベルギーリーグでプレーする薛埼鉉と李相一を含めると、実に6人の韓国人選手が、ヨーロッパへの進出を果たしたことになる。

 以前にもこのコラムで書いたが、サッカーの本場での経験は何物にも代えがたい貴重な経験になるはず。個々のレベルを高め、強いてはそれが代表チームの戦力強化にもつながることだろう。彼らがヒディンク新監督率いる新生韓国代表に合流したとき、チームの可能性はさらに広がることになるに違いない。

 こうした韓国人選手の海外進出が目ざましい中、逆に韓国に飛び込んできた選手もいる。海本功次郎だ。

 海本は東海大仰星高校を経て、96年にガンバ大阪入り。Jリーグ三十二試合に出場して一得点を記録し、日本五輪代表候補にも名を連ねたことがあった。が、ここ2年は足首の故障もあって出場機会に恵まれず、昨年末に戦力外通告を受けていたが、このほどKリーグの城南一和に移籍するになった。

 この海本は日本人選手としては初のKリーグ進出となり、韓国側の反応も歓迎的だ。昨今、活発化する韓日サッカー交流だが、韓国人選手の日本進出はあっても日本人選手の韓国進出は皆無だったからだ。それだけに韓国の協会関係者は「歴史的価値がある」と評価。正真正銘の相互交流時代の幕開けが来たと手放しで歓迎している。


◆在日Kリーガーにも期待

 ちなみに、城南と言えばあの朴康造が所属するチームだ。在日コリアンにして初の韓国代表選手にまでなった彼には例年になく大きな期待が寄せられているが、個人的にはもうひとりの在日コリアンプレーヤーにも注目したい。今年から浦項スティラーズでプレーすることになった鄭容臺だ。昨年末に正式発足した在日大韓蹴球団から送り出されたKリーガー第1号である彼には、ぜひとも成功を掴んでもらいたい。

 その在日大韓蹴球団は、3月18日からソウルで行われる第49回大統領杯に出場することになった。

 大統領杯は韓国アマチュアサッカー界でもっとも権威ある大会。実業団、大学などの18歳以上のアマチュアチームが一斉に集う大会として知られており、最近は選手育成強化の一環として、Kリーグの二軍チームにも出場が許されるようになった。昨年では計四十八チームが参加。高麗大学が18年ぶりに制覇した。

 この伝統ある大会に、我等が在日大韓蹴球団が挑むのだ。在日コリアンサッカーの発展を願う私としては、その戦いを取材しないわけにはいかないだろう。

 欧州、韓国、そして在日。ここ最近、日本国外に飛び出すことが多いが、今年はさらにその回数が増えそうな予感である。彼らの活躍をこの目で見られることはとても幸せだが、気になるのは財布の中身。今年も懐の寒い日々を送ることになりそうだ(笑)。

(2001.02.14 民団新聞)



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