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「教育指針」実効化へ

兵庫県外教・集会で協議



 【兵庫】兵庫県在日外国人教育研究協議会(兵庫県外教、会長=安保則夫関西学院大学教授)の第6回研究集会が10日、神戸市立渚中学校で開かれ、多角的な在日外国人児童・生徒への取り組みが紹介された。とりわけ、昨年8月に兵庫県が策定した「外国人児童生徒にかかわる教育指針」について入学児童・生徒に対する本名指導の徹底など、実効ある指針にしていく活動を強化することが確認された。

 集会には、日本の学校教育現場で在日外国人や日本人生徒たちが共に学ぶ中で、違いを認め合い多文化を共生し合う取り組みを進めている学校教師、教育関係者ら三百余人が参加した。

 特に、昨年8月に兵庫県教委が策定した教育指針に関して、現場教師らによるシンポジウムで教育指針が教育現場に浸透していない事実が指摘された。教師の中には「待ちに待った指針」であるとしながらも、指針の本旨を教育現場で実行に移すための手引き書やガイドが作成されていないことから、多くの教師がどのように取り組んでいけばよいのかがわからない、というジレンマが話された。

 また各学校に配布された教育指針が、校長や教頭などの管理職の所で止まっていたり、そのまま人権担当教師に手渡すだけという例も報告され、教育指針の実効が見られないと指摘する声もあった。一方、転校するたびに学校現場での取り組みに温度差があり、不安を感じるというという父母からの指摘も出された。

 シンポでは「命が吹き込まれた指針に」するために、教育現場で教師たちが取り組むための手引き書の作成や教師一人ひとりの認識の深化を深めていこうという認識で一致した。

 児童・生徒に対する取り組みや国際化、歴史など7分科会に分かれ、在日外国人児童・生徒にかかわってきた教師らの実践報告と質疑が行われた。

 西宮市立平木小学校では、数年前から入学予定の外国籍児童の保護者を家庭訪問し、保護者らの意見を聞きながらも「本名を名乗るなら、入学という節目こそ大切」と理解を積み重ねた本名指導を続けている事実が報告された。同校の父母からも「小中学校で本名で暮らす基礎を作ってくれた。高校へ進学するのにも不安はない」との声が出された。

 兵庫県下の約90市町の中で、教育方針(指針)を策定しているのは神戸市、伊丹市、川西市、西宮市など七市一町の教育委員会だけ。県外教では今後、より多くの市町での方針(指針)策定を求めていく。

(2001.02.14 民団新聞)



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