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次世代に残す同胞の歴史資料



 きょう2月28日は在日本大韓民国青年会中央本部(韓国青年会)の結成24周年記念日。あれから四半世紀、社会情勢は大きく変化し、在日韓国青年の運動も大きく移り変わりました。

 現役の韓国青年会の会員や役員らはすでに70年代後半〜80年代生まれが大半。自分たちが所属する組織誕生後に生まれ育った世代です。

 韓国青年会では昨年から、「歴史を伝える運動」を展開し、モデル地区調査をふまえ、このほど、四国を皮切りに全国キャラバンをスタートさせました。


■1世紀の同胞史を掘り起こす

 同運動は、在日同胞社会がどのようにして作られてきたのかを、地域ごとに、また実生活に根ざした生活史として残し、後世に伝えていこうとするものです。さらに、在日同胞が日本の中で生きていく上で、ルーツを掘り起こし、同胞青年自らのアイデンティティの確立を図るもので、新世紀を生きていく同胞青年たちにとっての「自分さがし」の運動でもあるのです。

 在日同胞の歴史はすでに1世紀をこえており、1世、2世から、今や3世、4世の時代に変わろうとしています。日本全国各地に住む在日同胞は、それぞれの地域で「同胞社会の歴史」をつくり上げてきました。

 1世たちのほとんどは、日帝植民地時代に異国の地である日本にわたってきました。差別や苦難を乗りこえながら同胞どうしの絆を深めながら、営々と生き抜き、現在の在日同胞社会を育て上げてきたのです。

 1世たちが、急速に減少する中で、在日同胞の歴史、とくに1世たちの証言を残していこうとの声が叫ばれて久しい。韓国青年会の「歴史を伝える運動」は、21世紀を生きていく次世代への在日同胞社会のメッセージとして大きな意義があります。


■調査の結果、いかに活用するか

 大切なのは、調査の内容をいかに記録し、分析し、次世代たちに残していくかです。さらに今後の青年会活動や将来像への材料として有効に活用していくことです。

 韓国青年会では調査終了後、次世代たちに残せる歴史資料として冊子および資料出版、映像資料などに編集することにしているといいます。

 在日同胞の歴史を直接生きてきた1世たちは、すでに5%を割り込んだと言われています。在日同胞の生活史は日本の教科書はおろか、韓国の教科書でさえ、知ることができません。

 新世紀を生きていく次世代たちにとって、だれもが一度は考えるであろう「なぜ自分は在日同胞なの」という、疑問を解く資料となっていくでしょう。

 そしてこの資料は、在日同胞社会だけでなく、日本社会や本国社会にも紹介し、在日同胞社会の歴史と存在を正しく伝えていかなければなりません。そうすることによって、日本社会で在日同胞に対する理解を高め、「共生社会」の実現を促す一助となることでしょう。

 「歴史を伝える運動」は、韓国青年会だけで完結できるものではなく、1人でも多くの生きた証言が必要で、全国各地域の民団の協力が欠かせません。

 四国を皮切りに始まった「全国キャラバン」は、今後、11月まで、各地を巡回しながら、その土地で生き抜いてきた1世たちの証言を収集していきます。

 未来を生きていく同胞青年たちが自らのルーツを知り、明日に生かしていこうとするこの運動に協力していきましょう。

(2001.02.28 民団新聞)



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