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地方参政権、住民の視点で考察

同胞と市民団体が全国リレー集会



江東区での東京・東部集会

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18都道府県26カ所で開催へ

 外国籍住民への地方参政権付与を求める各地同胞・市民による全国リレー集会が、20日の衆議院議員会館を皮切りにスタートした。これまでのところ4月まで十八都道府県26カ所での学習会、講演会が決まっている。今後さらに増える見込み。取り組みの広がりによっては、国会での永住外国人の地方選挙権法案の審議に追い風の役割を果たしそうだ。

 全国リレー集会は「外国籍住民の地方参政権共同キャンペーン21」と題して「在日韓国朝鮮人をはじめ外国籍住民の地方参政権を求める連絡会」(共同代表・田中宏龍谷大学教授、鄭暎恵大妻女子大学教授)が開催を呼びかけた。

 同連絡会は、公務員の国籍条項や外登法問題に取り組んできた同胞市民団体で実行委員会を構成、「私たちが求める外国人地方参政権」と題するシンポジウムを昨年11月に東京の在日韓国YMCAで開いたのがきっかけで発足。昨年12月から全国の仲間を通じて集会開催を要請してきた。

 民団が今国会での成立を期している「永住外国人の地方選挙権法案」は、審議入りを前後して様々な逆風にさらされてきた。なかには「外国人地方参政権に反対する決議」を採択した香川県議会のように多文化・多民族共生社会の流れに反する動きさえ出ている。危機感を持った同連絡会では、これら反対運動に抗し「同じ権利を持つ住民でありながら国籍、民族の違いで取り扱いの違いが出ていいものなのか。住民の視点で考え直してみよう」と問題提起している。

 25日、東京・江東のカメリアプラザで開かれた「在日外国人の参政権を考える集い」(同実行委員会主催)で講師を務めた在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんは「指紋押捺制度が全廃になり、常時携帯制度も刑事罰から行政罰に変わったことで、在日韓国・朝鮮人も地域社会を構成する外国籍住民としての認識を獲得した。これから増える移住労働者も含め、地方参政権は日本で生きていくうえでの当然の権利」と述べた。


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「帰化用件緩和」では、何の解決にもならぬ

 佐藤信行さんはさらに、特別永住者に限って帰化要件をゆるめようとの論議が出ていることに対しても、生前の新井将敬氏が「在日」のセクションから外されるなど韓国系政治家としては扱われなかったことを挙げ、問題の解決からはほど遠いと批判した。

 集会に出席していた在日同胞の一人は「参政権と日本国籍取得を結びつける意見を聞くが、国籍の問題は地域で同じ住民として交流していくうえでは意味を持たない。『在日』として地方参政権を獲得したい」と述べた。同じく葛飾区在住の在日同胞2世、李徳雄さんも「帰化要件緩和論は地方参政権問題を国籍の問題にすり替えているという印象を受ける」と釈然としない面もちで語った。

 現在確定しているリレー集会の日程は次のとおり。

 ◇「外国籍住民の政治参加を考えるかながわ県民集会」3月2日午後6時半、かながわ県民センター2F。講演「地方参政権と自治体政策」(富野暉一郎氏)◇「外国籍住民の地方参政権を考える」3月10日午後1時半、東京・調布市民センター。講演「外国籍住民の地方参政権を考える」(山田貴夫氏)。

(2001.02.28 民団新聞)



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