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韓国映画人気、話題作相次ぎ日本へ

3月からGWにかけ首都圏などで



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韓国版アカデミー大鐘独占作も

 今年に入ってからも韓国映画の人気は衰え知らずだ。3月には韓国初のセン水艦映画「ユリョン(幽霊)」(配給・日活)、ゴールデンウィークには若者4人がガソリンスタンドを襲撃する「アタック・ザ・ガス・ステーション」(配給・松竹)、衝撃的な性描写で韓国で物議をかもした「LIES/嘘」(配給・K2エンタテインメント)の話題の3作が公開される。


ユリョン

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ユリョン(幽霊)

 劇映画第一作となるミン・ビョンチョン監督の同映画は、SFXを駆使した映像に加え、艦内で人間の尊厳をかけて闘う男たちをリアルに描写した緻密な演出力で99年、韓国で大ヒットを記録、韓国映画のアカデミー賞に当たる大鐘賞六部門を受賞した。

 韓国政府から極秘任務を受けて原子力セン水艦「ユリョン」に搭乗する乗組員たち。彼らは記録の上では死んだことにされ、また、「ユリョン」も存在しないものだった。

 祖国に対する異常なまでの愛情から副艦長202は日本攻撃のクーデターを起こす。日本のセン水艦を魚雷で撃沈し、さらに日本の主要都市に核ミサイルの照準を仕掛けていく。鑑内で繰り広げられる男たちの死闘。韓日の長い歴史を背景に「日本を核攻撃する」という設定によって、今もって残る韓国人の心の澱が浮かび上がる。

 また、副艦長を演じる韓国人気スターのチェ・ミンスと、クーデターを阻止するために1人で闘うコード名431を演じる若手スターのチョン・ウソンの2人の共演は見どころだ。

 日活宣伝部主任の大場渉太さんは「迫力、高いストーリー性など、ハリウッド映画にもたえられる映画」だと話している。


▽3月
 シネ・リーブル池袋
 新宿ピカデリー4
 ほか全国ロードショウ。


アタック・ザ・ガス・ステーション

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アタック・ザ・ガスステーション

 キム・サンジン監督の同映画は、観客三百万人を動員し、歴代韓国映画興行成績第三位を記録。キム監督は韓国では笑いの製造器と評され、「トゥ・カップス」シリーズなどシニカルな映画作りで知られる。

 話はスタンドを中心に展開。「何となく、つまらない」からと、二度にわたって同じスタンドを襲撃する4人の若者たち。社長やアルバイトの4人を監禁した後、店員になりすまして客の車に給油をしたり、アルバイトの1人をカツアゲに来た学校の番長たちをコテンパンにして監禁する等など…。終盤では痛快な展開が待っている。

 はちゃめちゃだが、何故か憎めないキャラクターを演じるのは、今や韓石圭を抜いたといわれるユ・ジテ、俳優として不動の地位を築くイ・ソンジェ、演技派のユ・オソンとカン・ソンジンの4人。また、個性的な脇役も見ものだ。

 同映画では、挫折や疎外を経験した人間の人生の「大逆転」劇がコミカルに描き出される。また、出演者の個性と強烈な印象を残すために登場人物全員に特徴を生かしたニックネームが付けられているほか、ラップの人気グループ「ノイズ」が出演するなど、60年代生まれのキム監督の若々しい感性が凝縮されている作品。

 韓国映画上映の第一作になる松竹宣伝プロデューサーの張本有希さんは「エンタテイメントの映画。いい映画に国境はない。それを証明する映画」だと期待を寄せている。


▽ゴールデンウィーク
 新宿シネマスクエアとうきゅう
 渋谷シネパレスほか。


LIES/嘘

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LIES/嘘

 韓国で二度にわたり上映禁止措置をとられ、昨年韓国全土での公開で、成人指定にもかかわらず百万人を動員した韓国映画界の奇才チャン・ソヌ監督作品。

 処女を捨てる相手を自分で決めるために、女子高校生Yは、あるきっかけで電話で知り合った20歳年上の既婚の芸術家Jと、テレフォンセックスを楽しむようになる。YとJは逢瀬を重ねセックスに溺れていくが、そのうちJはYを棒で殴り始める。それを「愛」と受け入れるY。やがてその関係は逆転していく…。

 日常性から逸脱していく2人の愛。同映画は「欲望」をテーマに、愛という名のもとで繰り広げられるリアルで生々しい愛の形を克明に表現している。

 K2エンタテインメント映画部の渡辺祥恵さんは「現代の韓国の中の新しい出会いの映画。今まで儒教に縛られてきた女性が、自分の恋愛を選択するという、新しい表現の自由を描いている」と強調する。


▽ゴールデンウィーク
 渋谷シアター・イメージフォーラム。

(2001.02.28 民団新聞)



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