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兵庫県と川崎市、高齢者・障害者給付金

民団・総連の共同要望で増額へ



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「共同作業」、各地に普及へ

 各地方で民団と朝鮮総連の交流が進む中、両同胞の友好交流から一歩踏み出し、在日同胞の権益向上を目指した活動が成果を上げている。兵庫と神奈川の両組織では地方自治体に対して、日本の国民年金制度から除外されてきた在日同胞の高齢者と障害者への特別給付を現実に即した額に引き上げを要望し、相次いで実現した。

 【兵庫】民団兵庫と朝鮮総連兵庫の両本部は昨年10月、国民年金法から国籍条項が撤廃されながらも経過措置が取られなかったために制度の枠からはずされた同胞高齢者や障害者に自治体が独自に給付する福祉金の引き上げを求めていた。これに対して兵庫県(貝原俊民県知事)は、新年度から現行の倍に引き上げることを発表した。

 県からの高齢者への支給額は、月額5000円から1万円に、障害者は月額1万円から2万円と増額となる。

 県の給付は、市町が同額以上の給付をしていることが前提条件。高齢者の場合、すでに90%近くが市町から一万円の給付を受けており、県と市町の給付合計額は、高齢者で月額2万円、障害者で4万〜5万6000円になる。

 県下の対象者は高齢者1772人、障害者125人で、予算額は今年度の倍の計2億3104万円としている。

 【神奈川】川崎市(高橋清市長)は現行2万円(月額)の「外国人高齢者福祉手当」支給額を2万1500円にする。市議会で予算案の承認を得て、4月から実施に移す。

 地元の民団川崎支部(゙在龍支団長)と南武支部(徐泰源支団長)、総連川崎支部(李漢洙委員長)と南武支部(宋学譜マ員長)、同胞高齢者サークル「トラヂの会」、老人クラブ「川崎高麗長寿会」などでは昨年11月、連名で「福祉手当」の1万円増額を求めていた。わずかとはいえ、市は要望に応えたかっこうだ。市は99年10月、川崎市外国人市民代表者会議からの98年度提言を受けて1万8000円の支給額を2万円にしたばかり。川崎市内に在住する満65歳以上の同胞高齢者は約1000人。この多くは無年金で、4月からの介護保険料アップに苦しんでいる。

 1982年に日本の国民年金法から国籍条項が撤廃されたが、老齢年金が60歳までに25年間の加入期間(当時)を要することから、その時点で35歳を超えていた外国人が老齢年金を受給できない状況にあった。また20歳を超えていた外国人障害者は障害福祉年金を受給できなかった。国民年金制度開始後に沖縄の日本復帰などの際には過去にさかのぼって保険料を支払うことができるなど経過措置を取って救済したが、82年の段階では経過措置は取られなかった。

 このため民団などが自治体に対して、制度から除外された高齢者や障害者への救済を求め、理解を示した自治体が給付を行っている。給付金額は自治体によって差があるが、日本の老齢基礎年金や障害者基礎年金に比べて少なく、実態にそぐわないとして民団と朝鮮総連の兵庫県本部が合同で昨年秋、支給金額の引き上げを求めていた。

 現在、日本全国の自治体中、外国人の高齢者特別給付金を支給しているのは664自治体、障害者特別給付金は563自治体となっている。



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