民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀の民族教育を見つめて

民族学校の現場から<25>



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楽しむ母国訪問で民族体感
森石信司(建国小教師)

 建国小学校では一昨年から母国訪問旅行を実施しています。対象は新6年生の希望者で、春休みにソウルへ行きます。1999年は7人、2000年は20人が参加しました。

 99年は、初の試みでもあり、歴史学習に思い入れを込めてしまい、かなり過密なスケジュールを組みました。

 初日午後、ソウル到着後すぐに西大門刑務所跡を訪問。人形で作られた日本軍の拷問の様子がいくつも展示されているのですが、そこでは拷問時の叫び声や苦しむ声が大きい音でスピーカーから流されているのです。日帝植民地時代の歴史をしっかりと自分の目で確かめ、肌で感じたと思います。

 ただ、子どもたちは韓国訪問のスタートからハードなものを見たためか、多少、精神的に疲れたようでした。

 2日目は生きた近代史と韓国の伝統を感じさせようと、独立記念館と民俗村を訪れました。

 3日目はロッテワールドで遊び、最終日の4日目には、朝食後の散歩がてらにパゴダ公園を訪れました。

 パゴダ公園はいつもながら多数のお年寄りが集まっていました。

 レリーフの前で日本語で説明していると、そのお年寄りたちが集まってきました。子どもたちは少し、緊張しながら見学をしました。

 このようにして歴史見学を中心にした1回目の母国訪問は終わりました。

 ただ、大人の思考で組んだ日程だったたげにかなり過密となり、子どもにとって、本当にプラスになったのか、という反省も出されました。

 もしかしたら、「もう韓国には行きたくない」ということにもなりかねません。

 このような反省点をふまえ、2回目の母国訪問(2000年)では、少し日程を変更しました。

 まず初日に東大門市場へ行き、基本的に自由行動の形式をとりました。

 道端の屋台で食べたいものがあれば好きに買わせる。もちろんウリマルを使ってです。

 私達は子どもたちが緊張してしまうのでは?と心配しましたが、「案ずるより産むがやすし」で、子どもたちは授業で習ったウリマルを積極的に駆使しながら、屋台のおじさんやおばさんとすっかり会話を楽しんでいました。トッポッキやチポ(カワハギのミリン干し)を買う子どもたちの表情は生き生きとしているのです。

 2日目には国立民俗博物館を見学した後、大型ディスカウントショップで買い物に挑戦させました。

 3日目にはソウルノリマダンでのタルチュム(仮面劇)の観賞をはじめ、ロッテワールド、民俗博物館などの見学というようなスケジュールにしました。

 前回にくらべると子どもたちも疲れた様子は見せず、楽しみながら母国を堪能したという感じです。

 過去2回の経験から、子どもたちを母国に肌で触れさせることが、より大切であると痛感しました。そしてその時期は、早ければ早いほど構えることなく自然に感じることができると知らされました。

 今年の旅もさらに充実化させ、子どもたちにとって意義深い母国での経験をと考えています。

(2001.03.14 民団新聞)



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