民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー

「再会」は出来たが…



 韓国統一部の「2001年統一白書」によると、53年の韓国戦争休戦以降、北韓に拉致され、抑留されたままの韓国人被害者は487人にのぼる。また、これまで北韓から第三国を通じて帰還した韓国軍捕虜(17人)と北韓離脱住民らの証言などから、韓国戦争後も北韓に抑留されたままの韓国軍捕虜のうち351人の名簿が確認されているという。

 だが、韓国政府および家族らの送還要求に対して、北側は「北には義挙入北者はいても国軍捕虜や拉北者は一人もいない」との主張を繰り返し、送還はもとより、生死確認すら拒否している。

 2月の第3回南北離散家族相互訪問時には、69年12月の固定北韓スパイによる大韓航空機乗っ取り事件で抑留された元客室乗務員女性が、「離散家族」として韓国から平壌にきた母親と31年ぶりに再会した。

 金日成総合大学教授の夫や2人の子供を母親に紹介した彼女は、自分の意思で北韓にとどまったのだと説明。この日、2人の元韓国軍捕虜も、韓国からの兄弟と約半世紀ぶりに再会した。その模様を北韓の中央テレビは放映した。

 北韓内で数10年もの生活を余儀なくされ、新たに家族・親戚までできた今日では、「拉致・抑留」されたとは言えまい。言ったところで元に戻れるわけでも、自由往来が許される状況にはないからだ。残酷な話である。

 残された家族たちは、今も生死確認と即時送還を要求している。北韓は、これら家族の苦痛を少しでも軽減するために、その他の「抑留者」や「韓国軍捕虜」全員の生死を知らせ、家族再会と本人の自由意思確認の機会を、速やかに与えるべきである。北韓への不信を和らげるために不可欠な措置の一つだろう。(Y)

(2001.03.28 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ