民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
来年実施の大学入試科目に備え

じわり高まる「韓国語」学習熱



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教育現場、体制整備急ぐ

 来年1月から実施の日本の大学センター試験科目に新たに「韓国語」が外国語の選択科目として加わる。これから「総合的な学習の時間」で国際理解学習が取り入れられることとあわせ、韓国語や韓国文化への学習熱がこれまで以上に高まりそうだ。一方、高校の教育現場ではこれらの学習を担当する人材が不足しているだけに正規免許状を持った教員の養成、教材開発などを計画している。

 大学のセンター入試科目で現在、実施されている英語以外の外国語科目は英語を別格とすればドイツ語、フランス語、中国語の3科目。この3科目のなかでは中国語の受験者が若干増えており、昨年は280人余りだった。ドイツ語は150人弱、フランス語も200人弱でほぼ横ばい。

 では、「韓国語」による受験者数はというと、「在日」の人口比からしても中国語をはるかに上回ると予想する声がある一方、200人弱と慎重な意見に分かれている。これは日本の高校で韓国語を学ぶ高校生が、文部科学省の調べで4000人足らず(昨年7月現在)しかならないため。


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正規教員育成へ夏に認定講習実施
会話用「語彙集」発刊も計画

 日本で韓国語を開講している高校は131校余りといわれる。ただし、授業単位数は限られている。2〜4単位が半数以上で、これは入門・初級レベル。入試のレベルに達する6〜8単位以上の授業を保障している高校は少ない。逆に民族学校出身生徒にとっては有利な材料となりそうだ。

 一方、韓国語がセンター試験科目に導入されることで新たな学習の動機付けができた意義は大きい。進路や受験に役立つことで韓国語が「市民権」を獲得、将来的に韓国語を学ぼうとする日本人高校生が増えてくることは十分に予想されることだ。

 ただし、生徒の学習熱を引き出す立場の現場教員のなかで、正規の韓国語教員免許状所有者は約半数に過ぎないとされる。残りの半数は臨時免許状などで教えているのが現状。

 このため韓国語の授業を担当する現場の教師でつくる「高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク」では、正規過程で系統だった韓国語を学んでいない教師のために今年から天理大学で夏休みを利用した集中的な教員免許取得講座を開く。1年で3科目、2年で六科目を履修して正規の高等学校外国語(韓国語)の教員免許を取得する仕組み。文部科学省も認定している。

 このほか、会話に限定した『基本語彙集』の作成も進んでいる。限られた学習時間内でも韓国語を母語とする高校生を相手に「通じた」との達成感を持たることで、今後の学習意欲につなげたいという。

 高等学校での韓国語講座は、民団側の働きかけもあり、大阪府内を中心に年々増加傾向にある。韓国語学習者の底辺拡大に向けて地道な努力はいま始まったばかりだ。


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韓国語教育の礎に
金東俊・秀林外語専門学校校長の話

 導入初年度は、受験者にとって学習する時間的な問題とか、高校における韓国語教育が広く普及していないことなど、韓国語を選択する学生はそう多くはいないと思います。いまは受験者の数が問題ではなく、韓国語教育の礎ができたことに大きな意味があると思います。この設定があってはじめて諸教育条件が整っていくからです。

(2001.03.28 民団新聞)



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