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小学生から隣国語を

外国人都民会議、異文化理解で提言



外国人都民会議最終日の
審議模様(都庁)

 東京都知事の委嘱を受け、「開かれた共生社会」東京のあり方について話し合ってきた「外国人都民会議」(ピーター・バラカン座長)は3月28日、2年間にわたる審議内容を報告書にまとめ、都に提出した。同報告書は「外国籍住民が抱えるいろいろな悩みの奥底には根深い差別意識が存在する」と指摘、異なる民族・文化の尊重を訴えている。

 報告書は「情報」「意識づくり」「くらし」「東京の活性化」の4つのパートで構成。各部会での意見交換の概要と、提言にあたる「具体的意見」をまとめてある。

 「情報」では、外国籍住民が必要としている生活一般情報をそれぞれの母国語でひとつにまとめ、外国人登録窓口や入国管理事務所を通じて配布するよう求めている。

 「意識づくり」では地域や学校における国際理解の推進についての建設的な意見が目立った。地域では、区民センターなどを利用した外国籍住民と日本人による交流の場を設けるよう求め、学校では異文化理解の一環として小学生から隣接国の韓国語や中国語を勉強できる機会が必要と問題提起している。その前提として教師一人ひとりの意識改革と資質の向上を求める意見もあった。

 あわせて、外国籍者を公務員の管理職から排除して当然とする制度的な差別構造から見直すべきだとする指摘も出た。このほか、「東京の活性化」を図る手だてとして、国籍による就職差別の是正や民間賃貸住宅の入居差別を挙げ、都の啓発を訴えている。

 「外国人都民会議」は17カ国の委員25人で構成。内訳は韓国・朝鮮が4人で最も多く、中国、フィリピン、アメリカ、ブラジル国籍が各2人で続く。それぞれ4つの部会に所属、外国籍住民に対する情報提供のあり方、学校における国際理解教育のあり方に加え、医療・福祉といった身近な生活上の問題などについて各8回の部会と全体会議で意見交換してきた。


石原知事発言批判も

 ピーター・バラカン座長は都庁での最後の全体会席上、石原都知事のいわゆる「三国人」発言に言及、「都知事の個人的な諮問機関である外国人都民会議の存在理由そのものに疑問を抱くほどの衝撃を受けた」と述べた。

 この後、各委員からも石原都知事発言への批判が相次いだ。


京都市外国人懇話会でも報告書
外国籍者の審議会登用拡大を求める

 【京都】京都市外国籍市民施策懇話会(仲尾宏座長)は3月27日、審議会などに外国籍市民を積極的に登用するよう求める提言を盛り込んだ2000年度報告書を市に提出した。

 2000年度は4回の会議を開催、外国籍市民に関する諸問題のうち(1)市職員採用における国籍要件(2)ニューカマーの差し迫った諸課題(3)市政参画・地方参政権問題―などについて話し合ってきた。このうち市職員採用における国籍要件の撤廃問題については昨年11月9日、「早急に大胆かつ抜本的な見直しを」とるよう桝本頼兼市長に対して緊急申し入れをしている。残る課題として、審議会などの委員拡大と募集に際して外国籍市民が就任可能であることの明記、およびニューカマーの差し迫った諸課題を盛り込んだ。

 同懇話会は京都市が市長の諮問機関として98年7月に要綱で設置した。2001年度会議は5月からの予定。

(2001.04.04 民団新聞)



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