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過去直視し、反省を

李ソウル大総長、蓮實東大学長が卒業式で見解



 韓国と日本の代表的な国立大学であるソウル大学と東京大学の総長と学長が、3月28日の東京大学の卒業式で、両国の「不幸な歴史」に対する直視・反省の必要性を改めて強調、最近の日本の歴史わい曲教科書問題と関連し注目されている。

 東京大学の卒業式に外国の大学の総長として初めて招かれた李基俊・ソウル大総長は祝辞で「人類の歴史において偏見による判断と信念がもたらした不幸な歴史的汚点をあげることは、さほど難しくない。他人と周辺国家を理解し配慮する心が欠如した行動が、隣人にどれだけ危害を及ぼすかは韓日の近現代史を通じてもよくわかる」と指摘した。

 李総長は「このような不幸な過去を克服するために、偏見のない相互理解と配慮を通じた相生、つまり協力と共存の徳目をなによりも強調したい。歴史的経験はそれが教訓化されるとき初めて未来的価値をおびる」と表明。

 さらに「歴史は忘れられることはあっても消すことはできない」と指摘、「両国間の不幸であった時代に対する本当の反省を土台にした克服意志がある時にだけ、信頼性のある真の理解がなされると信じる」と強調した。

 これに対し蓮實重彦・東大学長は、告示で「20世紀の日本には、韓半島に住む人びとの自由と人権とを36年にわたって蹂躙するという、いかなる見地からしても到底正当化しがたい過去がある」と指摘した。また、「自分では責任が取りがたい日本の過去の過ちについても、責任をとるべきだ。自分が犯したのではない過ちについて謝罪するということは、倫理的にきわめて複雑な反省をともなう行為である。しかし、反省を深めたまま何もせずにいることもまた、歴史の無視につながる。そうした考えが導き出した自分の責任の取り方を日本人としての私はいささかも卑屈なものとは思っていない」と表明。「一部の日本人が勘違いしかねぬように、それはいわゆる自虐的な歴史観に惑わされてのことではなく、日韓両国の真の相互理解を築くべき私の世代にふさわしい真の名誉としてそうしたのである」と付け加えた。

 蓮實学長は、さらに「歴史的な記憶を失うことは、それに対する無知と同様、自分自身に対する不誠実な態度である。それがどれほど悲惨なものであろうと、歴史は、それを直視することで、未来に対する勇気を与えてくれる。歴史とは、そうした過酷な、また過酷であるがゆえに豊かな未来を約束する現実なのです」と表明した。

 続けて「豊かな未来を共有すべき貴重な隣国の一つである韓国に対して、歴史的な記憶をわい曲することで自らの過去を正当化することは、それがもたらすであろう小さな自己満足にもかかわらず、決して未来に対する勇気を与えてくれないはずだと確信している」と強調した。

(2001.04.04 民団新聞)



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