民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
「つくる会」教科書採択阻止へ

アジア7カ国市民が連帯



文科省を「人間の鎖」で取り囲む
韓国からの参加者ら

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「人間の鎖」でアピールも
世界71カ国で統一行動

 「新しい歴史教科書をつくる会」(代表、西尾幹二電気通信大学名誉教授)が中心となって編さんした中学歴史教科書の採択阻止に向けて日本をはじめとするアジア7カ国の市民団体が連帯、共同行動を起こすことを10、11日の両日、東京で開いた「アジア連帯緊急会議」で決めた。日本の歴史教科書問題でアジアの民衆が共同行動をとるのはこれが初めて。

 集会は「平和を実現するキリスト者ネット」をはじめとする3団体が呼びかけ、女性、平和、教育、人権、「慰安婦」、戦後補償、「在日」問題などに取り組む30近い団体で実行委員会を構成した。

 東京・千代田区の在日韓国YMCAでの集会には、海外からも韓国をはじめ、中国、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシアの6カ国・地域から代表が参加、総勢250人が「つくる会」の編さんした歴史教科書の採択を阻止するための「具体的、効率的な」行動計画について話し合い討論した。

 初日の10日、基調報告を行った「子どもと教科書全国ネット21」の石山久男さんは「民衆レベルの連帯がアジアで進んだことは、大きな財産になる。これをもとに共通の歴史認識をつくる運動も進めていきたい」と述べた。続いて海外からの各参加者が報告、これを受けて「つくる会」教科書阻止のために行動計画について話し合った。

 2日間の討論を通して各地で(1)手紙、はがきによる教育委員会への「つくる会」教科書不採択の働きかけ(2)教科書展示会に足を運んで、アンケートに意見を書く(3)教科書問題に関する集会の開催。このほか教育現場では教職員組合と連携していくことが確認された。

 海外参加者からは「歴史は一国では語れない。日本の歴史を東アジア全体のなかで位置づけた共通の副読本をつくろう」との呼びかけがあった。このほか、アジア各国間の学生・教員・学者同士の交流、共同授業も長期的な課題として提起された。これらの課題を達成するため、新たに「平和のための歴史教育アジアネットワーク(歴史教科書アジアネットワーク)」を結成した。


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共通の歴史副読本検討

 11日の集会終了後、参加者を中心に500人余りが夕方から日本文部科学省を「人間の鎖」で取り囲み、「つくる会」の検定合格に抗議した。韓国国内からは宗教団体、労働団体などから100人余りが「修正 歴史教科書」などのゼッケンを胸に参加した。

 韓国から駆けつけた市民を先頭に文科省の側面から裏側にかけてテープを回しながら次々に整列、「NO」など思い思いのメッセージを書いたハンカチをテープに結びつけ、「オーオー」と声も高らかに数回にわたって大きなウェーブをつくった。

 なお、韓国からの参加者100人は翌12日も朝早く宿泊先の韓国中央会館を出発、文科省前と衆議院議員会館前で「歴史教科書の是正」を叫んだ。これは、この日世界71カ国125都市で同時に行われた「日本の教科書を正す国際キャンペーン」の一環。韓国では約1万人がソウル、釜山、済州市内の日本政府公館前で抗議行動。フィリピンでも約1000人が日本大使館に向けて抗議のデモを行った。

(2001.06.13 民団新聞)



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