民団新聞 MINDAN
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南北首脳会談から1年

対話中断、膠着状態続く



「南北共同宣言」に署名する
金大中大統領(左)
と金正日・国防委員長(00年6月14日)

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「金正日答訪」も未定
望まれる北韓の積極的姿勢

 南北分断後初の南北首脳会談開催(昨年6月13〜15日)から1年になる。この第1回南北首脳会談では「共存共栄しながら南北統一の道に進む」ことをうたった「6・15南北共同宣言」が発表され、同宣言の具体化のために各種南北公式対話の開始と共に、離散家族相互訪問団の交換などが行われた。だが、今年に入り去る3月に予定されていた第5回南北長官(閣僚)級会談を一方的に延期させた北韓は、以後南北公式対話に応じず、南北関係は膠着状態に陥っている。


■南北離散家族 と赤十字会談

 昨年8月と11月、今年2月の計3回にわたり、南北それぞれ100人ずつの離散家族訪問団が平壌とソウルを相互訪問。合わせて3630人の離散家族が約半世紀ぶりに再会を果たした。

 また、相互訪問のための生死確認作業と別途に2回行われた生死・住所確認などで、合わせて1万213人の離散家族の生死(生存者6142人)と住所を確認。今年3月には住所が確認された人のうち南北それぞれ300人を対象に試験的に板門店を通じて手紙の交換が実施された。

 だが、4月に予定されていた第4回赤十字会談は北韓側の拒否で開かれず、離散家族再会定例化のための面会所の設置と運営開始時期の決定が、またも先送りにされた。


■南北経済協力と京義線連結

 南北長官級会談、経済協力推進委員会などを通じ京義線鉄道(ソウル〜新義州)のブン山・開城間(24キロ)連結復元、開城(北韓)工業団地の開発事業、臨津江共同水害防止事業などに合意し、投資保証、二重課税防止、清算決済、商事紛争解決手続きの4文書にも合意した。昨年の南北間交易規模は、前年比27・5%増の4億2500万ドルにのぼった。

 南北和解と協力の象徴とされた京義線復元工事は、昨年9月に韓国側が着工し、今年2月には南北非武装地帯(DMZ)の地雷除去などのための軍事当局間作業「共同規則」に最終合意した。にもかかわらず、北韓側は正式署名を保留したうえに、工事まで中断した。このため当初韓国側が想定していた今年9月の復元完成はもとより、年内すら困難視されている。

 開城工業団地開発も、当局間対話の断絶に加えて、推進中核視されていた現代グループの経営危機のために実務協議が開かれず、進展していない。

 (南北経済交流の象徴視されている現代グループによる金剛山観光開発事業については1面参照を)


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離散家族「訪問団交換」3回でストップ

■「宣言」補完と国防長官会談

 「6・15共同宣言」には、韓半島の平和構築と南北和解・交流・協力推進による南北「共存」制度化に不可欠な緊張緩和と平和定着に関する言及がなかった。その欠落を埋めるために、昨年9月に初の南北国防長官会談が開かれた。

 韓国側が提案した具体的な緊張緩和・信頼醸成措置は論議されなかったものの、「軍事的緊張を緩和し、韓半島に恒久的で強固な平和を実現、戦争の脅威を除去することが緊要との理解を同じくし、共同して努力していく」ことを確認した。

 昨年11月中旬に第2回国防長官会談を開くことで合意を見ていたが、北韓側によって無期延期された。その後、今年2月の京義線連結工事「共同規則」交換署名を契機に第2回国防長官会談が想定されていたが、結局北韓側が応じず、今日に至っている。

 その一方で北韓側は、今月に入り商船による韓国領海や北方限界線(NLL)侵犯を繰り返している。この問題で板門店の軍事停戦委員会秘書長級会議を行おうとの韓国側の提案に返答すらよこしていない。


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「緊張緩和措置」手つかず
「面会所」設置も先送り

■金正日委員長の「訪韓約束」

 「金正日・北韓国防委員長のソウル答礼訪問」は、まだ実現していないのみならず、その日程すら定かでない。金大中大統領は、先月24日に続いて去る6日の「顕忠日」追悼辞で「金国防委員長はソウル答礼訪問の約束(6・15共同宣言)を必ず履行しなければならず、そうなると信じている」と述べ、南北首脳会談1周年を機に、ソウル訪問の日程を発表するよう改めて促した。その一方で、15日には金国防委員長のソウル訪問や南北対話再開に関する発表が南北同時に行われる可能性がある、とも報じられている。

 北韓は「ソウル答訪」時期を速やかに明らかにすることにより、中断状態にある南北対話再開の契機とすると共に、第2回首脳会談の成功に向けた準備開始のために、第5回南北長官級会談を早期に開催するなど、「6・15共同宣言」の合意事項と精神の具体化のための関係改善に積極姿勢を示すことが望まれている。

 韓半島の平和・統一問題は南北が主体・中心となり解決していくというのが「6・15共同宣言」の当事者自主解決原則である。この自主解決原則精神にのっとった北韓側の誠意ある返答が待たれている。

(2001.06.13 民団新聞)



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