民団新聞 MINDAN
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在日へのメッセージ

萩原 遼(「北朝鮮の帰国者を守る会」代表)



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帰国事業を問う裁判

 いわゆる「帰国事業」で北朝鮮に渡った在日コリアン10万人の悲劇は20世紀の歴史に残る悲劇であると思う。私が一番心に残る光景は、帰国者が北朝鮮の強制収容所で再会する場面である。日本にいたときは朝鮮総連の熱心な活動家だった人たちが「こんなところでお会いするとは!」。

 どれだけ多くの人が無念の思いで死んでいったことか。その人たちの奪われた人生にたいし北朝鮮と総連の法的責任を問う歴史的な裁判がついに始まることになった。

 愛知県岡崎市から1961年6月、19歳のとき第62次船で帰国し、翌62年11月38度線を命がけで突破し韓国に脱出した金幸一さんが原告になってくれた。

 原告探しに2年かかった。私の本『北朝鮮に消えた友と私の物語』を読んだ静岡の藤森克美弁護士が電話をくれて「これは裁判で訴えるべき問題です」と。在日の中には帰国した身内を殺された人も少なくない。怒りに燃えている人も多いが、いろいろ事情もある。口では勇ましいがいざとなると尻込みする。

 藤森弁護士と私たちの会の有志がソウルまで足を伸ばしてついに出会ったのが金幸一さんである。

 第1回公判が7月27日午後1時半から東京地裁の527号法廷で開かれる。弁護士も手弁当、金幸一さんも守る会会員の家で民泊しながらの裁判である。現在は10人ほどの貧しい有志が1万円、2万円と身銭を切りながらもこの闘いを勝ち抜きたいと決意を固めている。どうかご支援をお願いしたい。

 支援カンパの郵便振込み先は00970-1-119745。口座名「守る会関西支部」。

(2001.06.20 民団新聞)



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