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都議選立候補者にアンケート

「外国人への地方参政権」賛成が7割



 市民団体「多文化・共生社会を考える都民の会」はこのほど、東京都議選立候補者に外国籍住民に対する認識を問うアンケート調査を実施した。事務局を担当した新宿の在日韓国人問題研究所が18日、明らかにしたところによれば、回答者の約7割が定住外国人の地方参政権付与に肯定的な立場を表明していた。


◆自民党回答1通

 アンケート用紙は5月29日現在で立候補を表明していた230人に送付、このうち101人から有効回答が得られた。党派別には自民だけが1通、そのほかは共産、公明、民主、ネット、社民、自由、諸派、無所属から複数回答。

 質問は外国籍都民に対する基本的な認識について3項目、もう2項目では「三国人発言」に代表される石原都知事の排外主義的な姿勢についての認識を問い、賛否を聞く形を取っている。

 「一定の条件を満たす外国籍住民には地方参政権を与えるべきだ」との問いには70人が賛成を表明した。このうち3人は「その他」で「地方参政権を与える。一定の条件次第」(中村晃久候補、無所属)、「基本的に賛成。外国籍住民を含めた論議が不可欠」(野崎孝男候補、無所属)、「在日外国人すべてに参政権」(結柴誠一候補、諸派)といった見解を付け加えていた。

 これに対して「そう思わない」との代表的な回答は「本来、国のありようを決定する参政権は国籍の有する者の権利であり、自治体の扱う問題は国の基本方針と密接に関連し、国と地方を単純に切り離すことは無理がある。十分議論が必要」(林田武候補、自民党)というもの。同じく、外国籍住民に対する東京都のサービスについては「福祉医療サービスは日本人並に(負担が平等ならば受益も平等に)」と回答しながらも、「参政権と行政サービスは別の問題」(島田和美候補、自由党)と、付与に否定的な回答もあった。


◆差別発言に及び腰

 一方、石原都知事が昨年4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典で語ったいわゆる「三国人発言」については国連の人種差別撤廃委員会からも是正勧告が出されている。だが、「人種差別撤廃条約に違反する差別発言」とはっきり認めた候補は53人、「問題なし」「問題ではあるが条約に違反しない」との回答も28人に達し、意見が分かれた。

 このほか、「石原発言は問題である」と認めながらも「人種差別を助長し扇動的意図を有しているか否か解らない」(根本二郎候補、無所属)と、発言の差別性に真っ正面から向き合おうとしない回答も見られた。

 在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんは「定住外国人の地方参政権についても石原発言にしてもこれまで選挙の争点になってこなかったのが残念。もうそんな時代ではない。候補者自身が、『内なる国際化』に対する認識が問われていることを知るべきだ。7月の参議院選でも各地で同様のアンケートを行い、候補者の意識改革を図っていきたい」と話している。

(2001.06.20 民団新聞)



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