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「つくる会」教科書の手抜きを指摘

日本の21歴史学界



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初歩的な誤り、56カ所も
採択で生徒に多大な不利益

 歴史学研究会、歴史教育者協議会をはじめとする日本の代表的な21の学会が共同、「つくる会」の歴史教科書採択に強く反対する緊急アピールをこのほど全国の市区町村教育委員会に送った。6月20日、東京の学士会館で記者会見した席上で明らかにした。

 記者会見には各学会に所属する研究者9人が出席、「つくる会」歴史教科書を「特定の意図を強調せんとするあまり基本的なところで初歩的な誤り・手抜きが目立つ」と厳しく批判した。その誤りは古代から現代まで全部で56カ所に及んだ。

 たとえば5、6世紀の歴史記述で「帰化人」の呼称を用いたことを「はなはだ不適切」とした。これは「『帰化』の語には確立した国家体制が前提とされており、他地域からの移住者を貶める語義を持っている」ためだ。

 また、江華島事件に関しても、「つくる会」教科書の「日本軍艦が江華島で測量をするなど示威行動をとったため、朝鮮の軍隊と交戦した」との記述を「江華島で測量した事実はない」と否定。日本軍艦の前提の背景に「征韓論」の台頭があったことが触れられていないため基本的な理解が得られないとしている。

 席上、東京大学教員の藤田覚さんは近世について、「基本的誤りが多くずさんというのが第一印象」と述べた。

 同じく、古代・中世を担当した東京学芸大学の木村重光さんも「この教科書を使うことで子どもたちがどんな不利益を被るだろうか。事実認識はもとより、現実に社会に出てから被る不利益も考えられる。これを使うとすれば、教育委員会にも責任が生じる」と警告を発している。

(2001.06.27 民団新聞)



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