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独自の美意識が一堂に

北海道で「朝鮮王朝の美」展



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7/14〜8/26
服飾・陶磁器など300点

 朝鮮朝時代の男性の部屋である舎廊房(サランバン)と、女性の部屋の安房(アンバン)で用いられた生活美術品を中心に、当時の生活様式や男女のあり方などを紹介する「朝鮮王朝の美」展が7月14日から8月26日まで、北海道立近代美術館で開催される。同展では、室内調度品、絵画、陶磁器、書、服飾、装身具、木工など約300点の名品が展示される。韓国で育まれた独創的で優れた芸術文化の作品を通し、当時の人々の美意識を垣間見る絶好の機会となるだろう。

 朝鮮朝時代(1392〜1910)は、儒教的価値や身分制度に支配された社会で、貴賤、男女、長幼が厳格に区分されていた。例えば、同じ家の中でも男女の空間領域は異なっていた。

 舎廊房は、儒教思想に基づく学識と人格を併せ持つ、ソンビと呼ばれる知識人たちの書斎だった。彼らはここで学問に務め、芸術を楽しんだ。舎廊房には、格調高い書画や陶磁、木工などの文房四宝をしつらえていた。

 一方、男性とは厳しく隔てられていた女性の生活は、家事を領域とする内房と呼ばれる部屋で営まれた。女性たちは、螺鈿(らでん)の家具が置かれた内房で、吉祥文様を刺繍した小物や、ポジャギと呼ばれるパッチワークの布、祝いの晴れ着を縫うなど、伝統的な染色工芸品を次々に生み出していった。

 展示される約300点は、国立中央博物館をはじめ、国立民俗博物館、今回初めて外部に貸し出した梨花女子大学校澹人服飾美術館など、韓国を代表する博物館、美術館の14カ所と個人所蔵から出品される。

 内容も食膳を覆うために用いる色鮮やかな「ジョガッポ」や朝鮮朝時代の女性の礼装用の帽子「花冠」をはじめ、螺鈿の箪笥、白磁など、当時を忍ばせる貴重な作品が並ぶ。

 82年から多彩な展覧会で、韓国と日本の文化交流に力を注いでいる国際芸術文化振興会の野呂芙美子専務理事は「今回は、韓国の生活全体が表現できる展覧会を開催したかった。現代は、伝統から引き継がれている。素晴らしい伝統を持つ韓国文化を在日の子どもたちに知ってもらい、自分の国に誇りを持ってもらいたい」と話している。

 7月14日午後2時から、北海道立近代美術館で、「韓国美術の特徴」をテーマに美術講演会も行われる。講師は京畿大学校碩座教授で前国立中央博物館長の鄭良謨氏(定員240人、聴講無料)。

 21日午後1時から、美術講座「朝鮮王朝美術への招待」が同館学芸員を講師に開かれる(定員50人、聴講無料)。そのほか、7月15日と8月19日に韓国の伝統文化を映像で紹介する。

 開場は午前10時から午後5時(7月20、27、8月3、10、17、24の各金曜日は午後7時半まで)。毎週月曜日休館。一般1000円(前売り800円)、高大生600円(500円)、小中生400円(300円)。

 問い合わせは、同美術館(011-210-5731)、同美術館テレフォンサービス(011-612-7000)。





(2001.06.27 民団新聞)



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