民団新聞 MINDAN
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青年会・歴史伝える運動が中間点

「在日史」記録へ23都道府県を巡回



大阪・高槻地区で在日1世の
証言を聞く
青年会大阪のメンバー

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中間点迎え、聞き取り調査順調

 在日同胞が渡日した経緯やその後の生活史を記録する在日韓国青年会(金昌敏中央会長)の「我々の歴史を伝える運動―自分探しの旅」全国キャラバンが折り返し点を迎えた。今年2月と5月の2班にわけてスタートしたキャラバンは、すでに全国23都道府県の巡回を終え、キャラバン隊だけですでに100人近い1世から聞き取り調査を行ってきた。今後は西日本以西を中心に11月まで各地同胞の生活史が調査される。

 青年会未設置本部を対象に2月から四国地区を皮切りにスタートした「臨海キャラバン」は現在、長野県を巡回している。一方、5月から青年会設置本部を巡回し、地元青年と協力しながら聞き取り調査を行っている「太平洋キャラバン」は北海道本部からスタートして順次南下しながら6月29、30の両日には、大阪地区での聞き取り調査を終えて現在は広島入りした。


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目標の半数を完了

 両キャラバンですでに100人近い1世同胞の聞き取り調査を終え、また太平洋キャラバン通過後も、地元青年会員が聞き取り調査を続け、現在は目標数の400人の約半数から聞き取り調査を終了した。

 各地で調査を終えた隊員によると、青森駅前に済州道出身者が集まって作ったという国際マーケットに関わった同胞や、秋田の鹿角地区の炭鉱労働者の状況、佐渡に居住していた同胞など様々な経歴を持つ1世から貴重な話を聞くことができたという。特に、現在では消えてしまった同胞密集地の形成過程などの体験談は、すでに2世世代では明確な記憶が無いために貴重な証言として残せると語っている。また、行く先々で「あと10年早かったら」と地域の長老格の1世が急激に減少している状況も明らかになった。

 太平洋キャラバンは29日には大阪の高槻地区、30日には生野地区に入り、地元青年とともに聞き取り調査を行った。


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「タチソ」の同胞集落を調査

 高槻地区は、第2次大戦当時、日本軍が地下軍需工場の建設を進めていた高槻地下トンネル(通称・タチソ)跡に形成した同胞集落で調査を行った。青年会大阪本部の劉龍義会長や金裕珠副会長らも参加し、解放直後にはトンネル工事のために数千人もの同胞が従事していたが、その多くが帰国した事実、また残った同胞も生活の糧がほとんど無いために、多くの同胞が宣伝に乗せられて北送船に乗って北韓へ渡った経緯などを真剣に聞いた。また生野地区でも平野川の改修工事に従事した同胞が生野に居住した経緯などを聞いた。

 キャラバンは11月まで西日本、九州を巡回し、400人の1世からの聞き取り調査をまとめ、3世、4世以降の同胞のために在日同胞の形成史を残していく。

(2001.07.04 民団新聞)



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