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離散家族面会所の早期実現を



 南北首脳会談の合意を受けて昨年の夏、南北双方100人の合わせて200人の離散家族がソウルと平壌で肉親と再会しました。半世紀という長い離別を越えて抱き合う映像は、全世界に流されました。同族相惨という悲劇と、その後の半世紀にわたる分断の歴史の流れに翻弄されてきた私たちもまた、涙無くしては見ることができませんでした。


■3回の訪問団で600人のみ

 南北当局は、光復節を期した離散家族再会直後から、離散家族のための面会所設置を模索してきました。その後も離散家族の生死確認などの手続きを実施してきました。その結果、南北首脳会談以来、昨年11月と今年2月にも南北離散家族の再会が行われました。

 しかし、3回の訪問団交換でも、肉親と再会できたのは合わせて600人です。1000万人にものぼるといわれる南北離散家族の人数から考えれば、ごく一部にしか過ぎません。

 南北首脳会談以後の8月末に開かれた南北閣僚級会談では、昨年中に光復節の訪問団交換を合わせて3回の再会実現を確認していました。今年2月の訪問団交換は、本来は昨年12月にも実現される予定だったのです。

 確かに、皆無よりは少数であれ離散家族が肉親と再会できた事実は進展といえるでしょう。また今年1月には韓国側が昨年9月に北韓に依頼していた506人の肉親の生死確認の中で、153人が北韓で生存している事実が明らかになりました。わらをもつかむ思いで肉親の消息を知りたいと願う家族にとっては朗報と言えるでしょう。


■急がれる赤十字会談の再開

 ですが、昨年の光復節の再会以来、1年に近い時間の中で、ごくわずかしか再会が果たせていないのでは、膨大な数の離散家族の肉親再会への願いを断ち切るのも同然ではないでしょうか。韓国戦争当時に直接肉親と生き別れた離散家族1世は韓国国内に123万人いるといわれています。韓国戦争から半世紀が経ち、ほとんどが高齢です。残された時間は無いのです。

 離散家族問題を話し合う南北赤十字会談は、今年1月末に北韓の金剛山で第3回会談が開かれて以来、中断しています。同会談で双方は、第4回会談を4月3日から開くことで合意していましたが、開催予定日まで北韓側から何の連絡もないために、開催することができませんでした。

 この間、大韓赤十字社は何度となく北赤十字に速やかに会談を開くように求めてきましたが、何らアクションはありません。

 離散家族問題は、政治的取引として扱われてはなりません。純粋に人道的問題として解決されるべき問題であることは明白です。北韓は一日も早く第4回の南北赤十字会談開催に応じると同時に、常設面会所の設置を早急に進めなければならないでしょう。

(2001.07.11 民団新聞)



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