民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー

今こそ冷静な言動を



 時事通信発。13日の午前8時頃、朝鮮高校に通う女生徒が、広島市内の路上で男から目や口を粘着テープで覆われたまま車に押し込まれ、約20分後に解放されるまで監禁された。少女は10日、11日にも同じ男に腹を殴られたという。

 いわゆる「つくる会」が仕掛けた「教科書問題」とこの事件との関連性の有無は、犯人が逮捕されていない現時点では何とも言えない。しかし、南北韓と日本との間で何らかの事態が発生すると、この国の一部に劣悪な「朝鮮憎し」の民族感情が醸成され、その空気に便乗して実際に攻撃の矛先を幼い子どもに向ける卑劣漢の出没を私たちは知っている。過去の例から「教科書問題」が引き金になったと言わざるをえない。

 そもそもこの問題で日本と北韓は直接対峙してはいないが、今回もチマチョゴリが標的になったことで、無差別攻撃をしかける暴力輩には、韓国籍、朝鮮籍など関係がないことが改めてわかった。異なる意見を圧殺する目的のためには、手段を選ばないという常軌を逸した悪意と汚れた動機がすべてなのである。

 今、在日同胞に求められているのは、結束して子どもたちを凶悪な犯罪から守ることだ。決して韓日の対立構造を煽ったり、いたずらに日本人総体を敵視する愚行に身を任せてはいけない。さもないと、私たちも「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」を地でいく恥知らずに成り下がるからである。(C)

(2001.07.25 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ