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誤解招く38度線「国境」記述

琉球大教授らが文科省に再修正要望



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扶桑社教科書・検定の整合性に疑義

 韓国政府からの中学歴史教科書再修正要求を受け文部科学省が「明白な事実の誤りはない」と回答したことについて、高嶋伸欣琉球大学教授(社会科教育担当)は「重大な疑義がある」として16日、遠山敦子文部科学相に宛てた再修正要求受け入れを求める「要望書」を文部科学省に提出した。

 高嶋教授が顕著な例として指摘したのは扶桑社版歴史教科書に対する24項目にのぼる修正要求項目のうちの一つ「韓国戦争」のくだり。扶桑社版では従来の国境線である北緯38度線の付近で戦況は停滞した」と記述していたが、38度線は便宜的な境界線として設定されたもの。ここが国境として設定されたことは今日まで一度もない。韓国政府も「誤解される恐れがある」と指摘、「境界線が適切である」と修正を求めていた。

 高嶋教授は旧文部省自身も38度線を「国境線」とした記述に対しては境界線、停戦ライン、軍事境界線などへの記述の変更を指示してきていると指摘。97年の中学社会科地理的分野の検定でも韓国と北韓、ティモールなど国境紛争地域や国境未確定地域の境界線を通常の国境線と明確に区別するよう意見をつけたという。

 高嶋教授はこうした従前の検定事例からしても韓国政府からの再修正要求は「明白に妥当」と強調している。しかもこの箇所は、扶桑社版歴史教科書を中心的に執筆した「つくる会」自ら「修正すべきだ」としている部分。

 高嶋教授は、文科省が韓国政府からの修正要求を受け入れ、早急に追加回答するように求めている。

(2001.07.25 民団新聞)



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