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全国からの抗議で再審議・不採択へ

栃木県の下都賀採択地区



小山市の菅沼教育長(左)に
採択見直しを迫る民団代表

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民団などが再検討を強く要求

 【栃木】全国に先駆けて扶桑社の「新しい歴史教科書」を来年度の公立中学歴史教科書として選んでいた栃木県下都賀採択地区教科用図書採択協議会(小山市、栃木市など2市8町)が、地元民団や市民団体などからの抗議を受け、審議をやり直すことになった。再審議は25日に行われる予定。

 下都賀地区教科書採択協議会が扶桑社版の歴史教科書を来年度中学教科書に採用すると決定したのは11日。一部日本紙が関係者の話をもとに12日付け紙面で報道した。

 民団栃木県本部(鄭珍模団長)はいち早く13日に同本部で緊急会議を開いて対応を協議、その場で小山市と栃木市教委に見直しを求めていくことを決めた。この日、扶桑社版歴史教科書は下調べ段階で評価が低かったにもかかわらず県や栃木市教育長のトップダウンで決まったという経緯も明らかとなっていただけに鄭団長をはじめとする8人の代表団は、正式に採択されれば大規模な抗議行動も辞さないことも確認しあった。

 鄭団長をはじめとする県本部三機関役員、栃木韓国商工会議所の金三郎会長、民団小山支部(許浚支団長)の役員で構成する8人の代表団は、栃木市役所で石橋勝夫教育次長に文書で見直しを求めた。

 同じく小山市教委では菅沼基訓教育長に対して「扶桑社版教科書が採択されれば新たな誤解や偏見を生み出す」と、地域住民の立場から強く訴えた。代表団に加わっていた民団中央本部の鄭夢周文教局長は席上、新聞報道の内容について真偽を正したが菅沼教育長は、「守秘義務」を盾にコメントを避けた。

 2市8町教委にはこの日朝から電話やファクスによる抗議が殺到していた。栃木市で約200件、小山市には約160件あった。これらの事態に小山市の大久保寿夫市長も「教科書採択は教委に権限があるが、慎重に対応されるよう強く望む」とコメント、採択協議会としても審議のやり直しを決めるしかなかった。

 同地区は栃木県内では宇都宮市を中心とする河内地区に次いで規模が大きく、97年度採択時の生徒数は約1万6500人。


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藤岡町教育委が採択を否決

 【栃木】下都賀採択地区の藤岡町は16日、教育委員会を開き、委員5人の全会一致で協議会の採択決定を否決した。

(2001.07.18 民団新聞)



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