民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
浅川兄弟偲び山梨に資料館

韓日心の交流願い、高根町が建設



「兄弟のふれた韓国」と題し、当時の衣食住を再現

■□
在日同胞も美術品を寄贈

 【山梨】日本の植民地下の韓国で韓日相互理解と交流に尽くした浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の業績を顕彰する「資料館」が18日、兄弟の生まれ育った山梨県北巨摩郡高根町に竣工した。高根町では、浅川兄弟を触媒に韓日間の心と心の交流をさらに広げていけたらと願っている。

 資料館は図書館と郷土資料館を併設した高根町生涯学習センター1階に設けた。高根町が林野庁からの国庫補助金など6億7千万円余りをかけて同役場の隣接地に建設した。資料館内は15のコーナーにわかれ、映像とパネル、ジオラマ、書籍、遺品などで浅川伯教・巧兄弟の人と業績を浮き彫りにしている。

 弟の巧については、朝鮮総督府の林業試験場勤務時代、養苗法(種の露天埋蔵法)を発見するなど、生涯かけて植林に情熱を燃やしたこと。私生活でもハングルを使用、木履をはくなど生活スタイルすべてを韓国式に変え、民芸品をこよなく愛した一面にスポットを当てた。また、兄の伯教については、韓国の古陶磁窯跡を全国的に調査、歴史的な流れと年代を統計的に調査したことを紹介している。

 韓国人の当時の衣食住を紹介する「兄弟のふれた韓国」コーナー。部屋の片隅にそれとなく置いてある座布団、物入れといったワンゴル(いぐさ製品)、およびトクサル(菓子型)などは前文芸協会長の河正雄さん(埼玉県在住)から提供されたもの。河さんはこのほかにも青磁再現の第一人者として知られる柳海剛(京機道人間文化財第1号)の青磁花瓶など貴重な美術品の数々を寄贈して役場関係者を感激させた。河さんは「浅川兄弟を介して両国民が草の根交流を続け、理解を深めあうことを願っている」と話している。「日韓友好親善の芽生え」と題したコーナーでは京機道抱川郡との間で始まったばかりの韓日交流の現状を紹介している。


■□
姉妹提携目指す

 高根町では浅川巧直筆の日記が韓国から里帰りした96年、大柴桓雄町長自ら「浅川伯教・巧兄弟を偲ぶ会」を創設。兄弟の功績を偲び、日韓友好親善の輪を広げていこうと町を挙げて取り組みが始まった。学校でも巧の一生を題材にした朗読劇を中学生が上演するなど住民の間で再評価の動きが活発化している。

 翌97年には「浅川巧公韓日合同追慕祭」がソウル市郊外の墓所で没後66年の歳月を経て初めて実現した。きっかけは高根町五町田地区の住民有志が95年に追慕墓参したときのこと、お墓の整備をして韓日合同の追慕祭をいたしましょうと申し入れたことだった。

 「偲ぶ会」の清水九規会長代理は「資料館建設がきっかけで心と心が一つになれるよう日韓交流の輪を広げていきたい。そして、いずれは巧ゆかりの地でもある京機道抱川郡との間で姉妹提携が実現できるよう努力していきたい」と話している。

(2001.07.25 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ