民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
永住外国への地方参政権
日本各界に意見を聞く

徳田虎雄さん(自由連合代表)



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地方参政権は義務の対価の権利
被選挙権含め多様な論議を


永住外国人の参政権問題について基本的な考えは?

 日本人と同じように納税の義務などを果たしている永住外国人に、参政権がないこと自体が間違いだ。

 だが、一般レベルでは、この問題に関心を示す人がまだ少ないのではないか。自由連合には党議拘束がないために、不勉強だったり、誤解があったりして、議員のなかにはこの問題に反対する人がいるのも事実だ。

 私自身は大阪の東淀川にいたこともあり、今でも在日韓国人とのつきあいがある。私の出身地の奄美大島や沖縄というのは、昔から本土の人に軽蔑されていた。

 郷里の人が関西に集まって住んでいたが、そこでわかったのは、「人間のなかには、人を差別して自分が偉いという気持ちにならないと生きていけないくらい哀れな人も多い」という現実だ。

 参政権問題の反対派を含め、世の中にはそういうタイプの人もいるという見方をしなければならない。


常々、「生命(いのち)だけは平等だ」と言われますが…。

 衣食住をはじめとして、少々の差別があったとしても仕方がないと思う。すべての人が差別をいけないことだと学習するわけではないからだ。

 高校の時から大阪に出て来て、言葉が違うからと馬鹿にされたり、ずいぶん痛めつけられてきた。それが人よりも多く努力をすることにつながった。ハンディを背負わされると、それがエネルギーになる。だから成功する。医療法人の名前を徳洲会と名付けたのも、徳之島出身であることを明らかにしたかったからだ。

 しかし、生命だけは差別するなというのは、私の育ちや精神構造、これまで受けてきた体験からして、弱者の最低限の叫びだ。

 その観点から、在日韓国人の参政権要望は、もはや論議するまでもない当然のことだ。地域社会に今よりも貢献するために参政権が必要だというのであれば、認めればいい。それをなぜ否定するのか。心の狭いことを言ってはダメだ。国籍をものさしにして在日韓国人を拒絶するのではなく、実力のある人が公平に認められる日本社会にすればいい。

 日本のスポーツ界や芸能界には、韓国の人が多く活躍している。自らの国籍を恥じる在日韓国人は実力のない人、恥じない人は実力のある人だ。同様に、それを認める日本人は実力がある人で、認めない人は実力がない人だ。実力のない人が、人を差別する。日本は横並び意識の強い国で、赤信号もみんなで渡れば恐くないと思い、行動しつつ、新しい動きには警戒心が強い。既得権層ほどそれが根強い。


参政権の対象範囲をどう設定しますか。

 今は選挙権だけが論議されているが、税金を一定限度納めている人は、被選挙権も認めるとか、5年以上その地域に住んでいれば立候補を認めるとか、いろんな考えがあって議論すればいい。

 世界はボーダレスの時代になっている。例えば、私が韓国で医療活動を行い、韓国の社会に貢献するために韓国での参政権や韓国と日本の二重国籍を望んだとすれば、それも可能にする社会がいいのではないかと思う。



□■プロフィル■□

徳田虎雄(とくだ・とらお)
1938年、鹿児島県・徳之島出身。大阪大学医学部卒業後、公立病院に勤務。73年1月、大阪府松原市に「年中無休、24時間オープン、患者から贈り物をもらわない病院」をモットーに徳田病院を開設。78年には医療法人「徳洲会」を設立、理事長就任。現在、グループ病院を含め、全国に170の病院施設(職員約15000人)を擁する。90年に衆議院議員当選、98年に自由連合結成、代表を務めている。

(2001.07.25 民団新聞)



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