民団新聞 MINDAN
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団員の絆、より強固にしよう

ソウルで全国支団長会議



ソウルで開かれた全国支団長会議

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趣向凝らし、団員サービスに全力
組織の質的転換なども確認

 【ソウル】2001年度全国支団長会議が7月23〜25日、ソウル市内のホテルで開かれ、全国39地方本部から154人の支部団長らを含む地方本部幹部ら200人が出席した。

 支団長らは南北関係や民団の課題などを学ぶとともに、世帯数別の班別討論や中央本部との意見交換を通じて、「曲がり角に来ている同胞社会」の地域の担い手として同胞の絆を強固にしながら、韓日の架け橋の役割を果たすことを確認した。

 同会議は昨年、東日本と西日本地域に分けて東京、大阪で開催されたが、「韓国訪問の年」の今年はソウルでの開催となった。二日目の晩餐会には李漢東国務総理も訪れ、「歪曲教科書」の不採用運動に集中した支団長らを激励した。

 開会式で金宰淑団長は、過去に類例のない大きな課題として、民族金融機関の再編、歴史教科書、地方参政権問題を挙げ、「曲がり角にある同胞社会の状況を把握し、これに対応しなければならない」と述べ、21世紀の民団は「文化民団、教育民団、福祉民団」への質的転換が必要と訴えた。

 洪性仁監察委員長は、「支団長会議を通じて、在日同胞社会の未来を決定づける民団組織の強化を図ろう」と挨拶した。

 続いて統一教育院の孫仁燮教授が「南北関係の現況と展望」と題して講義した。

 黄迎満事務総長は「在日同胞社会の現況と民団の課題」について、在日同胞が生きるための3つの条件として、1つに良好な南北関係、2つ目に韓日関係、3つ目に日本社会のあり方を提示。米国のブッシュ政権登場による米朝関係の緊張と連鎖した南北交渉中断解決の糸口は、「金正日国防委員長のソウル答礼にかかっている」と述べた。また、在日同胞全体の利益のために、朝鮮学校の激減と商工人の離脱で弱体化している朝鮮総連を視野に入れながら、「民団が地方参政権や教科書問題など在日の方向性を示さなければならない」と強調した。

 河政男組織局長は「支部組織の活性化のために」をテーマに、団員サービスに努める支部の実例を紹介し、支部こそが同胞との接点であると力説した。

 同胞世帯数別の班別討論の後、晩餐会には李漢東国務総理、金守漢・韓日親善協会中央会会長や孔魯明氏をはじめ歴代駐日大使らが参席した。李総理は「日本の歪曲教科書は決して容認できない。民団の不採択キャンペーンの展開は、世論形成に大きな力となった。継続した努力を」と期待を込めた。


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「韓民族」としての組織改革必要
中央団長との対話で意見交換

 班別討論の後、金宰淑団長をはじめとした中央本部との対話では、「国籍緩和法案」にからんで韓国系日本人のあり方、友好団員の取り扱いについて、団員の声を反映した大胆な見直しをすべき時期に来ているのではないか、という意見が出された。

 金団長は「差別のない社会をめざして参政権運動を展開している。国籍緩和は問題のすり替えであり、国籍選択は個人の自由の問題で、組織が踏み込む問題ではない」「在外国民団体というだけでなく、在外同胞の立場もわきまえた団体への転換が必要。韓国籍と日本籍の同胞が共存する民団を目指す」と答えた。

 総括で黄事務総長は、「活動には人と金が必要。仕事を通じて若い世代を育成し、世代交代を図る。個々人の自己実現よりも民族的出自、在日としての共通感覚を育てていく。デイサービスなど、団員に対して質のいいサービスを提供することで受益者から経費を還元させると同時に、自治体からの補助も支部に還元することを講究しよう」とまとめた。


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財政問題・後継者育成・団員サービス
班別討論で実例出し合い情報交換

 同胞世帯数別の班別討論は、9つの班に分かれて財政問題、後継者養成、団員サービスを中心に討論した。


◆1班

(100世帯以下の支部、班長=福岡県田川支部・李京埴支団長)

 団費収金を戸別訪問中心に行い、完納者には10%割り引く支部の例を紹介。後継者育成には、帰化同胞や総連からの入団者をもっと短期間に「長」にすべきという意見が出された。


◆2班

(100世帯以下の支部、班長=和歌山県新宮支部・崔茂祚支団長)

 飲料水の自販機で年間2300万円の副収入を得ている支部の例、また、独り暮らしの高齢者に食事提供サービスの例が紹介された。


◆3班

(100世帯以下の支部、班長=茨城県鹿行支部・金聖賛支団長)

 「団員に対して決してノーと言わない」心意気を見せた支部もあった。団費未納者にも行事参加を促し、冠婚葬祭にも積極参加する。支部会館を日本人にもオープンにするとの意見が出された。

 日本の補助金制度の活用について、情報を求める声も上がった。


◆4班

(100〜170世帯、班長=福岡県直鞍支部・韓錦澤支団長)

 チャンゴ教室を日本人にも開放し、韓日親善を図る支部。1世や障害者に団費を免除する考えの一方で、組織募金が多すぎるという意見もあった。


◆5班

(170〜260世帯、班長=千葉県船橋支部・李鍾城支団長)

 戸別訪問で団員との意志疎通を図りながら、団費を収金する。団員と団費が支部の基本で、そこから団員サービスも後継者養成も循環するとの意見で一致。

 広報には「民団新聞」の積極活用という意見も出された。


◆6班

(260〜400世帯、班長=三重県四日市支部・鄭雲振支団長)

 分団を活用して、団費収金の分団長にはマージンを、また、婦人会育成費支給の代わりに、会員が昼間に団費収金を受け持つ例も見られた。


◆7班

(400〜700世帯、班長=東京都目黒支部・李成泰支団長)

 不動産を賃貸にして団費の補充をする支部、会館のない支部の両極があった。支部統廃合、不動産管理などのマニュアルが必要との声も上がった。


◆8班

(700〜1500世帯、班長=大阪府北河内支部・鄭榮吉支団長)

 領事業務について支部経由の方が公館よりも早くという指導を領事館に指導している例や、団員の意識の高さ、低さが団費収金にはねかえるという認識を持つべきという意見もあった。


◆9班

(1500世帯以上の支部、班長=兵庫県西神戸支部・金孝支団長)

 人員と経費の削減はやむを得ないにしても、役員が仕事を受け持つことで、団員サービスの低下を招いてはならないと確認しあった。

(2001.08.01 民団新聞)



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