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一人芝居の沈雨晟さん

渋谷・プーク人形劇場で公演



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30周年特別企画で実現
南北統一への思いこめ、分断の悲痛を表現

 日本で初めての現代人形劇専門劇場として71年に設立されたプーク人形劇場の誕生30周年記念特別企画「おとなのための人形芝居2題」で、韓国の民俗学者でもある沈雨晟さんのひとり芝居「死者の結婚式-キョルフォンクッ」が8日から10日まで、東京・渋谷区の同劇場で上演される。「死者の…」は、若くして亡くなった男女のために行われる魂の結婚式。同作品には沈さんの南北統一を念願する思いが込められている。

 プーク人形劇場は73年以来、海外人形劇シリーズとして世界各国の優れた人形劇を招き、公演を行ってきた。沈さんの同劇場での来日公演は4度目になる。

 沈さんのひとり芝居は台詞がない。舞台は、韓国の伝統芸能をベースに、「音楽・踊り・バリム(マイム)」によって構成され、気迫のこもった独創的な肉体言語によって観客を釘付けにする。芝居は「マダンクッ」の形式で観客と舞台を一体化させている。

 舞台では、今でも韓国の南海岸地方に残る土着信仰(巫教儀式)の形をとり、沈さんがムーダン(巫堂)の役割を演じ儀式を進める。

 結婚式の場面では、服を着せた男女の魂を象徴するほうきや「シンカル」(神刀)と紙人形の「ノクジョン」(魂銭)を登場させるなど、使われる人形、小道具、装置は実際に儀式で使用されるものがベースになっている。

 音楽も韓国の伝統音楽を基にした現代音楽と土着の音楽の両方が使われ、巫教(シャーマニズム)、仏教、キリスト教のそれぞれの巫歌、念仏、賛美歌の歌声が会場を包み込む。

 祖国が分断されたことによって離ればなれになった若いカップルたちや、韓国戦争によって命を落とした結婚前の若者たち。「死者の…」は、南と北のイデオロギーを越え、祖国統一を願う強烈なメッセージが込められている。

 それは、舞台で用いられる韓半島を描いた布に象徴されている。

 沈さんは、「2つに分かれた祖国の統一を望む在日同胞はもちろん、平和を愛する日本の人たちが公演を契機に、固く手を結ぶ場になれば」と話している。

 上演は、8日19時、9日15時と19時、10日15時。当日2500円、前売り2200円、学生2000円。

 問い合わせおよび申し込みは、プーク人形劇場(03-3379-0234)。

(2001.08.01 民団新聞)



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