民団新聞 MINDAN
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在日は危険な存在ではない

公安調査庁の同胞不当調査



 京都市で発覚した公安調査庁による在日韓国人に対する不当な調査は、日本の公安当局が日常的に私たちを監視、管理している一端を露呈したものとして、在日同胞社会に大きな衝撃を与えました。

 日本社会での共生を目指そうとする私たちの思いとは裏腹に、理由もなく危険な対象として見なしている日本当局に対し、強い抗議の意を示さずにいられません。


■調査目的を明確にすべき

 その後の報道機関の調べで、この調査は全国的な規模で実施されていたことが判明しています。
 日本社会で普通に日常生活を送る在日韓国人を、明確な調査目的も示さず多数かつ多地域にわたって調査するのは、在日韓国人をあたかも危険視するかのものであり、到底納得しかねる事態だと言わざるをえません。
 今回の調査は明らかに異常なものです。限られた時期に全国的な規模で300人以上を対象にしたということですが、一体なにを調査しようとしたのでしょうか。
 公安調査庁は、破壊活動防止法(破防法)第27条に基づく調査というだけで、具体的な目的は明らかにしていません。同庁は事実関係を含めて一切ノーコメントで通しています。
 調査規模の大きさからみても、今回の目的が明らかにされないままでは、当事者である在日韓国人から「日常的に監視されている」との疑念を払拭することは困難です。
 公安調査庁はこの際、在日韓国人社会に根強く存在する疑念を取り除くためにも、調査目的を速やかに明らかにすべきです。


■自治体は住民側に立て

 自治体の対応にも不満が残ります。普段、他機関からの調査依頼がどの程度あるのかわかりませんが、一時に数十人単位の調査依頼があればその異常さに気づくはずです。もし気づかなかったとしたら、あまりにも感覚が麻痺しているとしか考えられません。
 外国人登録原票には、顔写真、職業欄、家族欄、居住歴などの個人情報が記載されており、外国人登録法によって自治体が厳密に管理することになっています。
 「破防法による調査」というだけで具体的な根拠も不明確なままであるにも関わらず、ほとんどの自治体が素直に公安調査庁の求めに応じたことは、自治体側に認識の甘さがあったと指摘せざるをえません。
 私たちは外国籍は持っていてもれっきとした自治体の住民です。自治体はあくまでも住民の側に立って、在日韓国人の権利を保護する観点から対処すべきなのです。
 在日韓国人は、理由もなく危険な対象と見られるいわれはありません。公安調査庁の不明朗な調査に厳重に抗議するものです。


(2001.08.29 民団新聞)



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