在日同胞同士の親睦と交流を深める「10月のマダン」が今年も30カ所以上で企画されています。民俗行事や各種スポーツ大会などを通じて、地域に居住する同胞が集い、気楽に楽しめる場を作ろうという精神から92年以降、各地で開催されてきました。
■昨年上回る開催地域
ここ数年、毎年開催地域は増加傾向にあります。今年も昨年を上回る地方でマダンが計画されています。
10月のマダンが各地で開かれるようになって今年で10年になります。昨年も、運動会や野遊会、ソフトボール大会など、各地方で趣向を凝らしたマダンが開かれました。開催当初は、ゴルフ大会など一部の同胞しか参加することができない企画もあったようです。しかし、10月のマダンが、全世代の在日同胞の親睦・交流を目指したものであることから、徐々に1世から4世の老若男女までが参加できる、マダンの精神にのっとった集いが行われるようになっています。
運動会は、大人から子どもまで、全世代が楽しめる企画として一番人気です。バーベキューパーティーも同じく好評です。ビールを片手に旧交を温める1世の姿が見られそうです。
青年会などで構成するサムルノリやユンノリ、チェギチャギなど伝統遊戯など、民族色を生かした企画を立てているところもあります。伝統遊戯を見たこともないオリニ達にとっては、またとない民族的素養を体感する場となるでしょう。
■朝鮮総連同胞の参加も
昨年6月の南北共同宣言以来、朝鮮総連との交流が続いている地方では、朝鮮総連同胞が参加するところもあるようです。
10年というマダンの歴史の中で、地域同胞の交流は着実に深まりつつあり、同胞同士の絆も太くなっています。年に一度のマダンを心待ちにしているハラボジ、ハルモニやオリニも数多くいます。これら同胞の声は、10年間継続して開いてきた成果です。
そもそも在日同胞は、解放直後には特定の地域に密集して居住していましたが、半世紀以上の時間を経て、徐々に分散していきました。地域的な分散居住とともに同胞の集いは徐々に減っていきました。お年寄り達の話の中に「昔は野遊会をよくやったものだ」という下りがよく出てきます。目を細めて楽しそうに話す姿から、和やかな同胞の集いが思い浮かびます。
「同じ釜の飯を食った」という表現がありますが、在日同胞はまさにその通りではないでしょうか。祖父母から父母、子弟へと繋がる家族が縦糸とすれば、地域に住む同胞のつながりが横糸なのです。どちらの糸が無くなっても「絆」という布は織れないのです。在日同胞社会も、解放後56年を迎えました。10月マダンが新たな同胞の絆を深める機会になって欲しいと考えます。
(2001.09.26 民団新聞)
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