民団新聞 MINDAN
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永住外国への地方参政権

日本各界に意見を聞く
佐々木 泉さん(愛媛県議会議員)



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「住民」の認定必要
国籍超えた協力も可能に

◆永住外国人を地域住民としてみますか?

 町内会で何か行事をしようという時に、そこに住む人たちの協力なしには物事が進んでいかない。国籍とか思想、信条に関係なく、同じ所に住んでいるというだけで力を合わせることができる。そのことをはっきりと教えてくれたのが、「阪神・淡路大震災」の時の助け合いだった。

 一つの所で同じ災難に遭っているのに、日本人だからとか外国人だからとか言うこと自体がおかしい。力を合わせて、最大限に輪を広げていくことが大事だ。

 地域住民は住みやすい地域社会を望んでいるのであって、そのためにリーダーシップを発揮する人であれば、町内会長であれ、市長の職責であれ、永住外国人の就任を排除する理由はないと思う。


◆国は日本人か外国人かと迫りますが…。

 95年の最高裁判決が優れているのは、国民と住民をしっかりと分けて論じている点だ。外国人としてその地域で生きている人々のいろんな活動や貢献を積極的に認めている。

 どの国の人であれ、母国とのつながり、アイデンティティを抜きにしては語れない。フジモリ前大統領のケースは例外にしても、日本人が外国に行き、何年その国に住んでも日本の国籍でいたいという気持ちがあるように、個人のあり方と国籍は切り離すことはできない。

 永住外国人が外国籍のまま日本の住民として地方自治に参画できるのが重要なことで、参政権が欲しければ帰化をというのは、問題の本質を意図的にずらしている暴論だと言わざるをえない。

 日本人一般の選挙権行使にしてもそんなに歴史が古い訳ではない。50数年前には日本国籍であっても権利がなかった事実からすれば、地方参政権に対する理屈、理論もどんどん発展していかなければならない。民衆レベルでは全部が全部隣人の在日韓国人を差別してきた訳ではないし、差別の方向に持って行きたがる一部の人間のために、関係が歪んできたのだと思う。

 隣の金さんの母国と日本とが敵対関係になったからといって、金さんがこちらに刃を向けるとは庶民感覚では誰も思わない。日常的につきあっていてよく知っているからだ。それが普通の感覚だ。

 しかし、政府高官は参政権を与えると有事の際にどちらに忠誠を誓うのかと迫る。妙なイデオロギーをふりかざしてはいけない。日本には多くの国の外国人が住んでいる現状があり、日本国憲法を遵守し、友好関係を率先していく立場にある人が、自ら有事を口にするのは不穏当過ぎる。

 この問題は在日外国人の問題ではなく、日本人の問題、日本人のあり方の問題だ。永住外国人に社会権や参政権を保障するのは21世紀の日本の課題で、そのためには20世紀の終わりに芽生えた共生の理念を実践に移していく。そうでないと、日本はますます偏狭な国になってしまう。表では日本は経済大国だ、高い技術力を持っていると評価されても陰で悪口を言われるような日本人になってはいけない。


□■プロフィル■□

佐々木 泉(ささき・いずみ)

 1950年、東京都出身。松山商科大学経済学部卒業後、「愛媛民報」編集長、日本共産党愛媛県書記長、松山日本コリア協会長を経て現在は愛媛県議会議員で、日本共産党県副委員長、松山コリア協会理事を務めている。趣味の一つがハングルで、KBSラジオ韓国日本語版主催「韓国歌謡グランプリ」で2度大賞に輝いている。「義を見てせざるは勇無きなり」が信条。

(2001.09.26 民団新聞)



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